“──そこから、どのようにしてゲーム制作に乗り出したのでしょう。 電通時代、ソニーの広告も担当していましたが、そのルートを使うのは違うなと思ったので、当時青山にあったソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)にノコノコと出かけていきました。 ──いきなりですか。 そうなんです。でも、飛び込みで行っても、話なんて聞いてもらえませんよね。受付で「時間の都合がつくゲームプランナーはいませんか?」と聞いても、「約束はおありですか?」と返されて。「持ち込みですか?」「そういうことになりますね」と言うと、びっくりされてしまいました。一応ネクタイを締めていましたから、変ではなかったと思うのですが(笑)。内線電話で聞いてもらいましたが、「あいにく都合のつく人間はいません。お引き取りいただけないでしょうか」と言われてしまいました。 ただそこで、ものすごくラッキーなことがありました。受付ですったもんだしていたら、白いポロシャツにジーパンの男性が後ろを通ったのです。僕が受付でもめているので、「どうしたの?」と声をかけてくれて。受付の方が事情を説明すると、その男性は僕の顔をじっと見て「僕でよかったら聞くけど」と言うんです。でも、ポロシャツにジーパンのおじさんですよ。どの業界にもいる一線を退いた暇な方かと思い、「これは困ったな」と思いました。 でも、僕としては「この人しかいない」と、すがる思いでした。会議室に案内されたので、ホワイトボードにバーッと絵を描き、3、40分ひとりでしゃべり続けました。すると、その人は「これ面白いね。もしよかったら、人を集めるからプレゼンテーションしてくれない?」と言ってくださったのです。内心では「やった!」と大喜びでしたね。そこで「あの、あなたは……?」と名前をうかがうと、定期入れから名刺を出してくるんです。それを見たら、「SCE副社長 丸山茂雄」とあるじゃないですか。本当にびっくりしました。”
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