私のなかの旅人が、星を目指して歩き出したとき。
大事にしたいのは光そのものではなく、その光が照らす小さな花や水面のきらめき、揺らいだ心のほうだと気づいた。あるいは、光があってはじめて生まれる影について。
ときどき思う。触れられなかったもののほうが、長く胸に残るのではないか。
うまく言えなかった言葉や、気づかれずに過ぎていった仕草。ほんの数秒だけ心をかすめた気配。そうしたものをそっと拾い上げていたら、一冊の本になった。
この本に綴ったのは、そんなひとりぼっちという旅の、ほのかな残り香のようなものです。香りは触れられないのに染み付いて、ときおり思いかけずよみがえる、過去への静かな扉です。
扉をひらいたその先で、あなたのなかのひとりぼっちと、すれ違えますように。
すこやかなひとりぼっちの守り方/うすいはるか


















