最適な場所
乞食から聞いた話だ、と祖母が語ってくれた話。 流浪の生活をしている彼は、夜、いろいろな場所に宿ることになる。 神社の拝殿は、しーんと静まり返っている。 それがあまりにも淋しくて、とてもじゃないが、やりきれないらしい。 一方、墓地のムセヤ、つまり火葬場は、真夜中になるとどこからともなく多くの人々のざわめきが聞こえてくる。 それがとても賑やかなので、淋しさがまぎれ、心安らぐのだそうだ。 だから彼にとって夜泊まるのに最適なのはムセヤなのだという。
(沢田四郎作『大和昔譚』 「一九、乞食と墓場」)
















