発酵器の製作
毎年4月下旬から5月上旬にかけては新茶収穫のシーズンで、自家消費する1年分の乾燥茶葉をこの期間に製造している(激務)。最近は加工プロセスを変えながら、煎茶のみならずいろいろなタイプの茶を作っているが、こと紅茶についてはこの時季の当地の気温が本発酵工程に必要とされる雰囲気温度に満たない為、適度に加温することで発酵を促進し、より香り高い紅茶を作りたいところである。
まずは既存の所有機器の利用を考える。ホームベーカリーには生地の発酵モードがあり流用できそうにも思ったが、生茶葉を入れるにはいかんせん容量が小さい。古い電気炊飯器は容量はデカイが保温モードでも加熱温度が高すぎるだろう。
身の回りに適用できそうなものもないので、都合良い商品がないかインターネットで調べる。発酵器で検索すると多用途可能な物から特定用途のものまで様々有り、グレードも値段もピンキリだ。う~む、複雑な機能はいらないので、そこそこの収納容量があって温い温度を維持できるリーズナブルな製品はないものか。。。いろいろ探し回った結果、部品を買って自分で作ってやろうと相成った。
まずは加温する為のヒーター。そんなに熱くする必要は無く、爬虫類飼育用のパネルヒーター(上の写真左)を調達した。サイズは28cm×28cmで消費電力は28W。ボリュームで出力強度が変えられることや、それなりに防水性があるのも有難い仕様だ。価格は1900円。
そして一定の温度になるよう制御するためのコントローラー(上の写真右)。基本的に2つの設定温度間でON-OFF制御するだけの物だが、温度センサーも付いて1000円は安いと思う。AC100V駆動タイプなのでAC/DCアダプターも不要だし、直接出力方式なのも簡単で良い。
スーパーマーケットで貰った発泡スチロール箱(無料)の内部にパネルヒーターを敷き、給電コードを箱の外側まで引き出す。逆に温度コントローラーの温度センサーは箱内部に引き入れる。
温度コントローラーは箱の外側に取り付け、その出力コードをヒーターと接続する。次に給電コードをコンセントに接続するとLEDパネルに現在の測定温度が表示されるので、出力ONとOFFの温度をそれぞれ仮設定してヒーター制御が正しく機能するかをテストする。結果問題無し。
発酵プロセスにどれだけの時間を掛けるかは仕上がりに影響する重要な要素である。なので温度コントローラーの給電をダイヤルタイマー経由にして所定時間経過後に自動で加温制御を停止させる。このダイヤルタイマーはもう30年ほど前に購入した物で、最近その存在を思い出し押入から引っ張り出して液体蚊取り器の自動停止に利用していた。まだまだ現役だね(笑)。
発酵容器はアルミ製の鍋を流用。内径33cmの大きさは我が家のガステーブルでは使いづらく、数年戸棚の奥で眠っていたが、平らな鍋底とその広さがヒーターのサイズに抜群にフィットしたのと、15cmの高さが蓋をした状態でこの発泡スチロール箱に丁度収まったため採用となった。伝熱性も申し分無いだろう。
底部から加温するため、側面は放熱緩和のためアルミ保温シートを巻いた。
制御部も発酵容器も準備が整ったので、発酵させる茶葉を入れていく。ちなみにこの茶葉は収穫後20時間ほど軒下に吊し萎調させた後、手で揉捻して発酵しやすく処理した物。温度センサーは写真では茶葉の上にあるが、実際には茶葉の内部に突っ込んだ。
上部からの放熱も緩和するためアルミ保温シートを挟んでから鍋蓋を置いた。
発布スチロール箱の蓋も閉めたらダイヤルタイマーを回して加温制御をスタートする。
実際に茶葉を入れての最初の運転なので、温度がどのように変化するかLED表示を逐一観察した。ヒーターは最大出力設定で、停止温度は28℃の設定。スタートからじわりじわりと温度が上がっていくが、あるところから急に上昇スピードが増す。停止設定温度に達してヒーター出力はOFFになるもそのまま温度は上がり続け、さらに4℃ほど上がったところで落ち着いた。その後の温度下降はとてもゆっくりで、再びヒーターがON出力されるまでにはかなりの時間が経過した。ただ二度目は最初ほどの温度上昇に至らずに温度制御するようになった。これは最初の想定とは違っていたが、適温に至った時点で茶葉の発酵が一気に活発になって自己発熱が始まり、ある程度発酵が進むと発熱も終息するということが起こった結果だと推測した。
4時間後、ダイヤルタイマーが停止設定時間に達し加温制御が停止したため、蓋を開け茶葉の状態を確認する。先の状態と比較すれば多くの茶葉が赤褐色に変化し発酵が進んだことが伺える。ただこれが最終的にどのような品質の紅茶になるかは製茶してみないとわからないし、どのような制御を掛けると理想的な品質になるかは今後設定をいろいろ変えて見極めていかなければならない。ちなみに可変要素は以下のようなところか。
・温度測定点(温度センサーの設置場所) 容器底/容器側面/茶葉内/茶葉上/容器空隙 ・制御温度(コントローラーの設定) ヒーターOFFおよびON温度 ・ヒーター出力強度(ボリュームで設定) 高/中/低 ・加熱制御時間 2~6時間 ・容器の保温性 高/低 ・前処理との関係
毎年製茶作業は実質2週間ほど行うが、そのうち紅茶は3日程度なので試行錯誤に数年は掛かりそうだ。まあ焦らず気長に取り組んで参ります(苦笑)。その間に何か他の物の発酵に利用するかも知れないけど。















