大家の学校第7期の講義レポート、第4限目!
green+を運営する御田亜希子さんとシェアビレッジを運営する丑田俊輔さんを講師に、地域の暮らしの居どころを手がける「ローカルでつくる暮らしの居場所」のレポートをお届けします。
夫婦で営むカフェと畑&薪ストーブつきエコアパート
にぎやかな5人家族、三児(2、4、5才)の母の御田亜希子さん。育児まっただ中、子どもを置いて一人で電車に乗るのは約6年ぶりとのことです。羽を伸ばして電車で音楽♪(T.○.Revolution)を聴いていたらイヤホンが接続されてなく、車内で音がダダ漏れ!「恥ずかしい思いをしました」と笑顔の御田さん。
東京駅から特急で約80分、畑、森、田んぼの風景が広がり、伊勢海老が日本一の漁獲量を誇るいすみ市。そのいすみ市に御田さんがやってきたのは2011年のことです。キッカケは3.11で、それまでは東京に住み広告代理店で働いていました。旦那さんとの出会いはいすみ市にあるシェアハウスの星空の家。当時旦那さんは Brown’s Field※ のカフェで働いていたそうです。ご自身でお店を開きたいと考えていた旦那さんをスカウト。その後ご結婚されて2013年に夫婦で『green +(グリーンプラス)』をオープンされました。
green +(カフェ + 4室)は御田さんご自身で設計。(夏休みの工作のような感じで図面、模型を作成されたようです)すごい‼︎ 地元工務店さんに「図面、模型を持ってくる人は初めてだよー!本来こっちの仕事だからね〜」と驚かれたそうです! green +はヒノキの床、薪ストーブ、畑つきのエコアパート。Permacultureの『①人を大切にする②資源の共有③地球を大切にする』という3つの要素がちりばめてあります。井戸 、雨水タンク、太陽光、風流などエコな仕掛けがされていて(1階の薪ストーブのあたたかい空気を2階に流れさせるための通気口もあります)冬はポカポカ、夏はヒンヤリ。「ディープなことは大変なので、ライトな田舎暮らしをイメージしてます。住んでいるだけで自然とエコな暮らしができます」と御田さん。
住人さんは様々なシーンで集まり、日々の‘’シェア‘’も盛んです。「ここなら2人目いけるかな〜」と住人さん。『ゆるい大家族、子育てもみんなで』の考えのもと、住人同士の手助けできる関係と誰かしら助けてくれる環境は、子づくりに前向きになれるとのことで2人目3人目を産んでる人が増えているそうです。またママさん同士が手助けできたらいいなぁと、green +だけでなく、地域でこどもたちを森の中で遊ばせる『森のようちえん いすみっこ』の代表としても御田さんは活動しています。
そんな御田さんですが最初は大変だったそうです。1年経ってもgreen +に誰も来ない!!妊娠と出産が重なり1年間自身での発信はしてなかったそうです。そこでFacebookで発信したところ、周りからは「募集してたの!」と言われみんながシェアしてくれたとのこと。それでも埋まるまでそこから1年くらいかかったそうです。
ここで会場に足を運ばれている、green +の住人さんで大家の学校講師でもある安藤勝信さん。世田谷では貸す側ですが、ここいすみでは住む側の2拠点シェアをされています。安藤さんは「大家業をする中で、人に何かを求めれば求めるほど手砂のように落ちてしまう、けどその点、御田さんはさじ加減やバランス感覚がいいんだよな〜。自然と住む側の視点で価値を考えている」と言います。
ライトでさりげない居場所づくりをされていて、住人さんや子どもたちの「オモシロクってシアワセ」な暮らしを考え、それを自然体でおこなう御田さん。暮らしをともにつくろうとする人たちが集まり、等身大の御田さんの心も体も居心地がいい〜green +の暮らしのお話でした。
遊びながら村づくり
『学び』をテーマにハバタクを起業し、『学びをもっと多様性、創造性に溢れた環境に』を考え、あらゆるところで『学びを面白くする』の取り組みを行いながら、遊びをこよなく愛する丑田俊輔さん。奥さんが秋田ご出身で、2014年に里山の景色が広がる秋田県五城目に移住されます。五城目は秋田駅・秋田空港から車で約50分の距離にあります。
丑田さんは五城目で当時解体が検討されていた築138年(明治15年建造)の茅葺き古民家に出会います。従来はその家に住む家主が多額の維持費を払い管理をしてきました。ただ現在にいたっては、高齢化や後継者不足によりこの仕組みはサスティナブルではないと感じ、なんとかこの古民家を残していきたいと思います。そこでコミュニティでシェアする新しい村の構想を考え、家主オーナー、エリアにとらわれることなく、コミュニティで資金を出し合い、維持管理もコミュニティで運営する『村』シェアビレッジを創ります。
・都会と田舎の新たな関係
・古民家保全を越えた皆で楽しみ 共に創るCo-Minka(古民家)
のアイデアのもと 年貢(資金) 村民制度を考案されます。『年貢を納めて村民に!?』をキャッチフレーズに村民1000人募集(クラウドファンディング)をしました。結果、目標金額を大幅に上回る年貢(資金)が集まります!年貢というネーミングが面白い!
ここでそもそも『村』ってなんだろう?という疑問があります。『村=皆で持ち寄って育む小さな参加型コミュニティ』と丑田さんは定義されています。多種多様な村を自律分散的に生まれてくる豊かな生態系と考え、複数の『村』に所属することが当たり前になる(家族、会社、趣味のグループなど)マルチコミュニティの社会になっていくのではないかと想定しています(多様性のある共同体は共‘’異‘’体という考え方も)
そこでサスティナビリティな村(地域)についても考え、流れのなかの‘’あいだ‘‘という捉え方もされています。ちょっと難しいお話ですがとても興味深い考え方です。
子ども ⇄ 村(地域)⇄ 大人 継承
人⇄ 村(地域) ⇄ 自然 里山
さまよう者 ⇄ 村(地域) ⇄ 暮らす者 文化
複数の軸によってつくられる流れのなかの一部の‘’あいだ‘’として村(地域)が存在しています。例えば子供と大人をつなぐ‘’あいだ‘’としての村(地域)を考えると流れをつくる軸は継承になります。流れの中にあるので‘’あいだ‘’を構成するものは日々変化していて‘’あいだ‘’を維持するためには流れを維持する必要があるとしています。そこで丑田さんは村(地域)の関係性を耕す『おもちゃ』としてのコイン、コミュニティテック(地域通貨)なども考えられています。その例で、green+コイン、青豆コインをつくり⁉︎その連動などについてご提案されていました。
五城目の村(地域)の関係性から生まれる事業を『土着なベンチャー=ドチャベン』としています。(初め丑田さんはこの言い方に少し違和感があったそうですが、今はとても気に入っているとのこと)廃校オフィス BABAME BASE※ では生まれた起業家は初め3人だったのが、現在30人まで増えているそうです。来た当時は閑散としていた五城目の朝市通りにも520年目のレボリューションが起こります。そのキッカケは若手の女性たち(丑田さんの奥さんもメンバーの1人)。 ‘’朝ぶら‘’しょっ♪『ごじょうめ朝市plus』を企画され、今では多くの人が朝イチに足を運ぶようになり3密ならぬ2密と大反響とのことです! そうした中、丑田さんは『あそびからはじまる経済』と『あそび』の日常化を追求し、まちの遊休不動産を遊ばせて、『大人も子どもも没頭できる自由空間』を構想。まちの子どもから大人まで、誰もが『ただで』あそびに来れる場所(とりたてて豪華な遊具や設備もないし、何かあそび方が決まっているわけでもない)『ただのあそび場』を創られます。
これは遊びと学びを追求したからこそ生まれる、ありそうでないユニークな場所だと思いました。日常、たくさんの子どもたちや大人がただの遊び場に集まり、丑田さんはそこでテーブルにパソコンを広げて仕事をしているといいます。『ただのあそび場』 は遊びと学び、さらに暮らしと働くの境界が自然に交わる、まさに丑田さんを表するようなローカルの居場所 ‘’あいだ‘’ のように感じました。
一見ハードルが高く難しそうなことを、遊びと学びを通して創造性豊かにいつの間にか周りの人たちが楽しく関わりやすいものに創り変えてしまい、流れの中の‘’あいだ‘’として村(地域)を観察しながら、サスティナブルで多様な村づくりをされている丑田さんの暮らしを聞かせていただきました。
トークセッション
御田亜希子さん × 丑田俊輔さん × 青木純校長
「一見大丈夫かな〜と思う時があるけど話を聞くとすごく考えている。 なんかいけそうな気がするんだよな〜」と青木さん
「小さな村をあちこちにつくりたいんです」と丑田さん
「丁度いすみ以外にも別の場所を考えていたんですよー!色々な拠点があると面白そう」 と御田さん
「ぜひ五城目にGojome+を」(笑)
とこれからのお二人の活動について楽しい未来の話の一方で、地方と都会のそれぞれの良いところと悪いところなど、様々な視点からお話を聞くことができました。大量生産品の手軽さや安定感など、都会から離れた地域で暮らすリアルなお話もありました。感染症が広がり、社会の変化がより早くなっている今日。お二人の話を聞かせてもらい、豊かさとはなんだろう?と改めて考えさせられました。
「今日のお二人はあまりせっかちに成果を求めてない気がする。よくこの仕事をしていると数を聞かれる。何棟管理していますか?と。これからは本当に先が見えない時代だし、規模や数だけではない」と青木さん
色々な豊かさの物差しがあって、その価値観が大きく変化する中にあっては、短期的な成果ばかりを求めず 「遊び心からはじめてみる♪」という考え方が必要なのかもしれません。
受講生の声
御田さん・丑田さんのお話を聞いていてお二人ともとても楽しそうで、いすみと五城目に行ってみたくなりました。私は大家をやっていて地元が好きなのでローカルへの移住は考えたことはありませんが、お二人がやられているような場を自分の活動している地域にも欲しいなと思いました。自分の物件もそうですが、地域の資源にも目を向けて、価値のあるものはそれを活かせる方法を考え、エリアとして面白い地域にしていけたらと思います。
7期単科受講も随時受付中!ご興味のある方はぜひお申込みください!
▼詳細、申込みはコチラから↓
https://mamekurashi.com/oyanogakkou/
▼場所のリンク先
・green + http://greenplus-boso.com
・Brown’s Field※ https://brownsfield-jp.com
・ハバタク http://habataku.co.jp
・BABAME BASE※ https://babame.net
・ただのあそび場 http://tadanoasobiba.jp
【この記事を書いた人】 渋谷 洋平(しぶや ようへい)
2代目大家として神奈川県相模原市相模大野で不動産業を営む渋谷兄弟の兄。大家の学校1期、2期受講生。その後卒業生として大家の学校をサポートさせていただいております。地元で地域の大学の先生と連携しながら、さがみはら100人カイギを運営。愛着のある暮らしや地域を考えながらゆっくり奮闘中。












