イタリア・ナポリの人々は素手でパスタを食べていた!1903年の記録映像と写真
公開:2025-02-08・更新:2025-02-08
パスタといえばフォークやスプーンを使って食べるのが一般的だが、20世紀初頭のイタリア、ナポリでは、素手で豪快に食べる文化があった。
この奇妙ともいえる食習慣が記録された1903年の映像が、当時のナポリの庶民の暮らしを今に伝えている。
なぜ彼らは手づかみでパスタを食べていたのか? そこには、ナポリ独特の食文化や経済状況が大きく関わっていたようだ。
ナポリの「マンジャマッケローニ」 パスタを愛する人々
イタリア語の「マンジャマッケローニ(mangiamaccheroni)」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
「マッケローニ」は、英語でいう「マカロニ」を指すように思われがちだが、20世紀初頭のナポリでは、パスタ全般を意味する言葉だった。
この「マンジャマッケローニ」とは、直訳すれば「マッケローニを食べる人々」。つまり、パスタを愛してやまないナポリの人々を指す言葉だった。
ナポリの人々のパスタ好きは、18世紀にはすでに有名だった。
ドイツの詩人ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ氏も1787年のナポリ訪問時に、「ナポリではどこでも安くパスタを買える」と記しているほどだ。
当時、ラッツァローニ(lazzaroni)と呼ばれる定職を持たず、貴族からの施しを受けていた貧しい人々がいた。
彼らの中には、パスタやお金を手に入れるために「見せ物」として手を使って早食いする者もいた。
観光客からただでもらったパスタを早食いする。その姿を見た観光客らは歓声を上げながら彼らに投げ銭をする。
ラッツァローニにとって、こうした見世物は生活の糧を得るための手段でもあった。
1903年に撮影されたトーマス・エジソンの映像では、彼らがフォークやスプーンを使わず、長いパスタを手で掴み、そのまま口に運ぶ姿が映し出されている。
現在のパスタとは異なり、当時の「マッケローニ」はスパゲッティのように長かったため、ダイナミックな食べ方が生まれたのだ。
この時代にはまだトマトソースが広く普及していなかったため、パスタはシンプルな味付けで食べられていた。
もしトマトソースが使われていたら、手づかみでの食事は大変なことになっていただろう。
1929年にナポリを訪れたアメリカのジャーナリスト、ウェーヴァリー・ルート(Waverley Root)氏は、著書『イタリアの食べ物(The Food of Italy)』の中で当時のパスタ文化について触れている。
「ナポリの裏路地では、干されたパスタが無造作に吊るされ、ホコリやハエにまみれていた」と記しており、庶民の食べるパスタの衛生状態が決して良好ではなかったことを伝えている。
初めてイタリアを訪れたとき、少なくともナポリではマカロニが嫌いになった。不衛生な中庭はまるでマカロニのジャングルのようだった。
しなびたマカロニが物干しロープにぶら下がり、空中には土埃が舞い、むき出しのパスタにはハエが群がり、さらにはハトが上空から狙いを定めていた(ルート氏)
パスタは何世紀も前には貴族の食べ物だった。だが、1922年から1943年までイタリアを統治したムッソリーニの政権下で、生産拠点が移転され、規模が大幅に拡大した工業化によって、貧しい人々の主食となって久しかった。
ムッソリーニは国内の食糧自給率を高めるため、「バトル・フォー・グレイン(穀物戦争)」と呼ばれる政策を推進し、その一環としてパスタの大量生産が進められたのだ。
今でこそ、イタリアの食文化は素晴らしく、パスタやピザは世界中から食べに訪れる観光客がいるほどだが、かつてはそんな時代もあったんだね。とりあえず日本のナポリタンがナポリと全く関係ないことも一応言及しておこうかな。大好物なんだけど。
References: When Neapolitans Used to Eat Pasta with Their Bare Hands: Watch Footage from 1903 | Open Culture
本記事は、海外の記事を参考に、日本の読者向けに重要な情報を翻訳・再構成しています。
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(イタリア・ナポリの人々は素手でパスタを食べていた!1903年の記録映像と写真 | カラパイアから)