パイロット不要のAI自律戦闘機、ついに滑走路まで不要に
20260815
PASSANT RABIE - GIZMODO US
Kenji P. Miyajima
垂直離着陸といえば映画『トゥルーライズ』に出てきたハリアーIIが思い浮かびますが。
アメリカで開発中の最新無人戦闘機「X-Bat」が、ジェットエンジンの可変排気システムの統合に成功するという重要な節目を迎えました。年内に予定されている垂直離陸に向けて準備が着々と進んでいるようです。
防衛テクノロジーのスタートアップ企業Shield AI(シールドエーアイ)と航空機エンジンメーカーのGE Aerospace(GEエアロスペース)は、X-Batが垂直離着陸を行なうための重要パーツである軸対称ベクタリング排気ノズル(AVEN)の地上試験を完了。
このノズルのおかげでX-Batは滑走路を必要とせず、どこからでも離着陸できるようになります。
また、機体にはShield AIの自律飛行ソフトウェア「Hivemind(ハイブマインド)」を搭載。AIが戦闘機を自動で操縦し、有人機と連携しながら任務をこなすことになる予定です。
No runway, no problem. Shield AI and @GE_Aerospace just cleared a critical path to vertical flight, completing engine light-off testing of the Axisymmetric Vectoring Exhaust Nozzle (AVEN) for X-BAT. Engineers from both companies integrated the AVEN into GE Aerospace's… pic.twitter.com/OxV3y3sRKB
離陸の準備は万端
今回の試験は、オハイオ州ピーブルズにあるGEエアロスペースの施設で実施。エンジニアチームがAVENを改造し、機体のF110-GE-129Eジェットエンジンに組み込みました。その後、推進システムが計画通りに機能していることを確認するため、機能チェックおよびエンジン点火試験を完了しました。
Shield AIの航空機エンジニアリング担当上級副社長であるArmor Harris氏は、次のような声明を発表しています。
X-BATは、空軍基地や滑走路がなくても、どこからでも垂直に離着陸できるように設計されており、その能力は推進システムにかかっています。
AVENは、もともと1990年代に実験用F-16戦闘機向けに開発された3次元推力偏向システム(噴射の向きを自在に変えて機体を操作できるシステム)でした。このノズルは、エンジンからの排気を3次元方向に動かすことで、より精密な制御ができるうえに、垂直離着陸の際に排気ノズルからの噴射でバランスを保つことも可能にします。
AVENこそが、このサイズと性能を備えた機体での垂直飛行を可能にしているのです。飛行実績のあるハードウェアを任務に応用させたことで、ゼロから始めるのではなく、驚異的なスピードで開発を進めることができました。
とHarris氏は補足説明。
AVENは、95回のフライトで135時間の飛行実績を積み重ねています。Shield AIによると、ノズル、制御システム、エンジンシステムを完全に統合した試験は、1990年代以降では今回が初なのだとか。
滑走路いらず?
X-Batの開発がスタートしたのは2年以上前。2025年10月に初めて一般公開されました。Shield AIは、同機に搭載するエンジンの供給、推進システムの統合、試験のサポートをGEエアロスペースに発注しています。
完成すれば「どこからでも発進できるステルス戦闘機」となるX-Batは、「滑走路が攻撃されると弱体化する」という航空戦力の脆弱(ぜいじゃく)性を解決するかもしれません。なぜなら、戦艦からでも、島やへき地からでも、従来のインフラに頼ることなく離陸できるように設計されているからです。
X-Batの機体はF-35とほぼ同じサイズの爆弾倉を2つ備えており、それぞれ最大907kgの兵器を搭載可能です。80kWの発電能力があるため、電子戦システムを動かしたり、必要に応じて通信妨害装置として機能させたりできるとこのこと。
Shield AIの自律型ソフトウェアであるハイブマインドが操縦することで、X-Batは無人で垂直離着陸をこなせるほか、単独でも、有人機との連携でも戦闘任務に参加できます。
また、無人戦闘機でありながら通信やナビゲーション信号が妨害された状況下でも自律飛行できるように設計されているのだそう。
F110-GE-129Eエンジンへの統合が成功したAVENは、今後さらに試験を重ねた後、X-Batのプロトタイプに搭載され、年内に飛行試験が実施される予定です。
自律型AIが操縦する無人ステルス戦闘機同士が空中戦を繰り広げる未来が見えてきました。
(パイロット不要のAI自律戦闘機、ついに滑走路まで不要に | ギズモード・ジャパンから)















