LuaLaTeXで貂明朝
これはTeX & LaTeX Advent Calendar 2017の第14日目の記事として書かれたものである.
第13日目:mattskalaさん
第15日目:_MadChemiker_さん
貂明朝に実装されている4つの貂の字形は次のコードで出力できる.
\documentclass{ltjarticle} \usepackage{luatexja} \usepackage[match]{luatexja-fontspec} \setmainjfont[StylisticSet=2]{TenMincho-Regular} \begin{document} LOVE \end{document}
使用環境
macOS Sierra(10.12.6)
This is LuaTeX, Version 1.0.4 (TeX Live 2017)
貂明朝
貂明朝のいくつかの字形をみたとき,使ってみたいという衝動に駆られた.
とくに,その次のものが文字として実装されており,この文字を出力することは非常に興味深い.
貂明朝は2017-11-28に開催されたAdobe MAX Japan 2017においてリリースが発表された.この書体はTykekitにて提供される書体である.
この貂明朝をLuaLaTeXで使うことを考える.貂明朝はTypekitを用いて“同期”の手続を行うことにより,その使用が可能となる.
Typekitのいう“同期”は,よく知られたようにフォントファイルをローカルな環境にダウンロードする.それによって,Adobeのいう“デスクトップアプリケーション”で用いることができるようになる.
実際,Adobeの各製品やLibraOfficeのメニューから選択できるようになる.
LuaLaTeXにおける貂明朝使用の問題点
貂明朝は一部のアプリケーションのメニューから選択できるものの,フォントの実体がどこにあるのかが明示的でない.例えばFont Book.appには現れず,実体がどこにあるのかが直ちには分らない状態である.
今回は次のツールを用いることで“同期”前後でのファイル変化を調べ,ファイルの場所を特定した.
https://github.com/emcrisostomo/fswatch
これでファイルの追加を検知する.フォントファイルの名称は不明ではあるが,いくつかのアプリケーションから見えていること考えると,拡張子がotfであることが推測できる.もちろんttfであることも考えられるが,ともかく拡張子がotfであるものを拾い上げることにする.
fswatch -xr / | grep \.otf
かくして,次の場所にファイルが追加されたことが判った(ここでは発見されたファイル名を特に記さない).
~/Library/Application\ Support/Adobe/CoreSync/plugins/livetype/.r/
確認のため,追加されたファイルをotfinfoのiオプションを用いて確認すると次の表示を得た.
Family: Ten Mincho Subfamily: Regular Full name: Ten Mincho PostScript name: TenMincho-Regular Version: Version 1.000;PS 1;hotconv 16.6.54;makeotf.lib2.5.65591 Unique ID: 1.000;ADBE;TenMincho-Regular;ADOBE;<tkd-35820-681fd16d6b8081012c9f48b4736211c429df236f> Description: Dr. Ken Lunde (overall production) & Masataka HATTORI 服部正貴 (production) Designer: Ryoko NISHIZUKA 西塚涼子 (Japanese) & Robert Slimbach (Latin) Manufacturer: Adobe Systems Incorporated Vendor URL: [http://www.adobe.com/type/](http://www.adobe.com/type/) Trademark: Ten Mincho is either a registered trademark or trademark of Adobe Systems Incorporated in the United States and/or other countries. Copyright: Copyright © 2017 Adobe Systems Incorporated. All Rights Reserved. License URL: [http://typekit.com/eulas/00000000000000000001c7a8](http://typekit.com/eulas/00000000000000000001c7a8) Vendor ID: ADBE
これで実体のファイルが判明したわけである.
LuaLaTeXからの利用
我々の目標は貂明朝をTeXで用いることである.もっとも簡単であると思われるのは https://qiita.com/zr_tex8r/items/0512dd43e9806483013a でも扱われているLuaLaTeX(LuaTeX-ja)でluatexja-fontspecパッケージを用いる方法である.
フォントファイルの実体が判明したので,次で選られるLuaLaTeXがサーチ可能な場所にリンクを作成すればよい.
kpsewhich -show-path="opentype fonts"
かくして,次のようなコードにより貂明朝を使ったPDFを作成することができる.
\documentclass{ltjarticle} \usepackage{luatexja} \usepackage[match]{luatexja-fontspec} \setmainjfont{TenMincho-Regular} \begin{document} ☀☁☂☃〠☝☟☜☞ \end{document}
貂を捕まえる
貂たちはどのようにして入力すべきかわからない.公式情報(https://blogs.adobe.com/CCJKType/2017/11/ten-mincho-ja.html)から,いくつか列挙されているOpenTypeフィーチャーのうち,次のものによって実現されているであろうことが予測できる.
ss02 (Stylistic Set 2、英語で「Marten」、日本語で「貂」)
ss03 (Stylistic Set 3、英語で「Black and White」、日本語で「白黒」)
\setmainjfontへss02とss03が有効になるようにオプションを与えるはStylisticSetだ.
今回は上のように得られた情報によりss02で有効になると予想できる.
\setmainjfont[StylisticSet=2]{TenMincho-Regular}
そして“LOVE”がトリガーであることもわかる.
かくして次の出力を得ることができるわけである.










