2017.4.26 ‘国産電子音楽’ CLA-6 tracklist (moanyusky)
1. Genseiichi / illegal(from CDR ‘blue works from 2010-2013’ 2013)
2. Rei Harakami / 閃光 inst(from 12‘閃光’ 2002)
3. Cheekbone / ワルツ(from CD ‘ちぐはぐ’ 2008)
4. Moanyusky / どこか遠くの島で(from CD ‘scapes album’ 2015)
5. 福島武司(武茶)/ Deep Loop I(from LP‘ディープループ’ 2014)
6. Nou(脳) / Bay Breeze(from CD‘sweet memorys’ 2009)
moanyuskyによる解説
1. Genseiichi / illegal(from CDR ‘blue works from 2010-2013’ 2013)
このCDRは私の作品scapes albumのミックスを担当してくれたgenseiichiがベルリンに旅立つ前に彼の名作blueという作品をミキシングし直した再リマスター版。今回、原盤と聴き比べていると明らかに音圧が上がっているように聴こえる。明らかに音が変わっている。 でもたぶん音圧を上げているだけでは無いと思う。無知な私は何がどうなっているかよくわからないが、内容は変わっていないのに響きが違うというわかりやすい出来事になんだか衝撃を受けてしまった。先日、他界したpan sonicのmika vainioの音源を聴いているうちにgenseiichiのこのリマスター盤を聴きたくなって、聴いてみた。冗談抜きで同一の音響空間で音がなっていることがよくわかり、今になってgenseiichiの恐ろしさを味わうこととなりました。この機会にこれを聴いたということ、これは何かの運命であり、これを冒頭に持っていくことが今最善の音ではないかと強く感じたのであります。
2. Rei Harakami / 閃光 inst(from 12‘閃光’ 2002)
tawaki氏と話している中で、国産の電子音楽といえば、やはりrei harakamiだろうと。意見が合ったわけですが、あえて外してくると感じていたので、ストレートにrei harakami作品を選んでみました。今回色々な曲を聴きこんだ中で、一番好きな曲かもしれないと感じたのでこの曲を選びました。 UAは好きですが、この曲はvocal無しのinstに限ります。 rei harakamiさんのいつもながらの音色の世界、飽きさせない展開が全体的に散りばめられたharakamiマナーな楽曲。 ある一定の集中を超えてしまった感が感じとれるレッドカーブの最後の2曲のアンビエント作品の世界をそのままポップスの中に落とし込んでしまったかのような楽曲にビビらされます。 いつかのライブでレッドカーブの楽曲を見事にダンスミュージックに変貌させフロアを沸かせていたrei harakamiの底力と言いますか、作曲家の意地のようなものを見てしまった時がありまして、その時の意地のような、ポップミュージックに対する挑戦と言いますか、自分はここにいますと力強く繊細に表明しているところに大きな意味を持つ楽曲だと感じます。 このシングル、実はプロモオンリーで12インチがきられていたというところにもとても愛おしさが増してしまう理由の一つであります。このレコードに出会ってしまったことにより、よりこの曲が好きになってしまったのです。この楽曲をかけたことでポールマッカートニーのお話になり、ポールを巡るtawaki vs nakamuraが勃発したのが最高の出来事となりました。
3. Cheekbone / ワルツ(from CD ‘ちぐはぐ’ 2008)
現在、京都在住の森内こういちさんによるソロユニットcheekboneのファースト。今でも交友があり、お世話になっている音楽家です。 昔、隣町に住んでいて、よくセッションや機材の売買などなど、よく遊んで頂きました。この作品、面白いと感じるところは曽我部恵一さんのRose recordからリリースされているというところですね。これまた違う友達が、私が好きそうな奈良在住の作家のアンビエント作品が曽我部恵一のRose recordからリリースされる!と一報頂きまして、題名がカタカナやひらがなばかりなので、変なのが出てきたと巷を騒がせていた記憶があります。とても繊細な作風にただのドローンやノイズ(垂れ流しは市民の音楽となるか!)では無く、作家性がよく感じとれる楽曲としての輝きも感じれる名作です。特に音響ロックやエレクトロニカなどの00年代前半のシンフォニックな流れの中、生まれ出たであろう時代のハーモニーが奏でられております。後半のシューゲイザーな展開に昇天するでしょう。マイブラはそないに簡単なものでは無く、アイコンでも無い。ノイズというのは色々な顔を持っているという事実を押し付けがましく無く、そこにある音として素直に提示されており、聴き手は無防備に音の洪水を受け取れる不思議な力を持った音楽となっています。 私はこの作品を聴くと当時奈良にあった、今はガレージになってしまったsampleというカフェのことを思い出しますし、森内さんの家の猫のことを想い出したりします。
4. Moanyusky / どこか遠くの島で(from CD ‘scapes album’ 2015)
自分の作品で恐縮なのですが、この曲を選びました。この楽曲は梅田にあるクラブNOONで月1で開催していたmole musicのみつきさんとhankyovainなどのメンバーで行っていたフューチャークラシックというパーティの中で生まれたメロドラマです。 奈良にあったアートギャラリーかつ、古着を売っていた夜猫という場所がありまして、そこでのグループ展の際に録音した初めての作品の中に入っていた楽曲となります。その楽曲を再リマスターしてファーストアルバムに入れました。マスタリングはgenseiichi。今回、この楽曲をかけたことによってCDが売れたのでとても嬉しく感じています。ありがとうございました。
5. 福島武司(武茶)/ Deep Loop I(from LP‘ディープループ’ 2014)
先日、ヨーロッパツアーも大盛況だった、武茶さんの実質上の最新作。長年音楽を聴いていると、テレパシーのようにこれ、ヤバイかもという音も聴いてもいないのに、その、なんというか、香り、匂いだけで感じとれることがあります。武茶さんのdeep loopは反応してしまいました。匂いがプンプンしました。 神戸にあるhangesha recordさんに武茶さんが長年大事に保管されていた過去の自身のレコード作品の在庫が一挙に入ったと一報頂きまして、次の日に神戸に行きdeep loopとともに全作品を購入しました。もちろん、過去のハウス作品も極上なのですが、それより何よりも最新作の音の深さにやられてしまったのです。最新作が一番良いという現実。私はとても凄いことだと感動したのです。現在、世界中で日本産のハウスミュージックが再評価を受け、コンピーレーションや編集版など、まぁ盛り上がっているわけで、武茶さんも国産ハウスの人気により掘り返されてしまったアーティストの1人という認識が一般的な解釈だとは思いますが、deep loopの音を聴くと、あのj dillaのドーナッツの尺感を思い出してしまいますし、dillaのドーナッツを初めて聴いた時にこりゃ現代音楽だなと衝撃を受けたあの感覚が戻ってきたことを今でも鮮明に覚えています。知り尽くされたスムースなコードとグリッチなビートとの絶妙な抜き差し、ミックス具合を聴いていると、こんな音楽誰も作っていないぞと!とても興奮します。ymoが数値かしたかったグルーヴを解体し、骨組みだけで構築されたクリックビートの上にシャーデやラリーハードが作り上げたウォーターベッドな音世界が肉付けをかますように骨を覆うわけです。馴染みが深いブラックミュージックが持つスモーキーでジャジーな世界をそのままに力強くなっています。ブラックミュージックが好きなリスナーにグルーヴって何なんだと問いかけているような音のメッセージが詰まっている音と感じます。テーリテムリッツさんやマークフェルさんとは違うアプローチでのハウスミュージックの形がdeep loopには詰まっているように感じるのです。プリンスが作ってしまったブラックミュージックの見せ方を音を通し崩していく。重要なのはそこには808や909のキックの音も無ければ、303やakaiが生み出すズレなどは存在しないということです。ハウスという定義からの解放をグルーヴで行う。これはとても挑戦的な作品であり、問いかけだと強く感じるのです。
6. Nou(脳) / Bay Breeze(from CD‘sweet memories’ 2009)
NOUさんにお会いしたのはもう何年前になるのか、横浜を拠点に活動する音楽集団、pan pacific playaのパーティでライブをすることがあり、その時にお会いしました。 私の音出しの時にNOUさんがガンガンに踊ってくれていたので、とても声をかけやすく、scapes albumを作るきっかけを作ってくれた方であり、このsweet memoriesはscapes album クルーのテレパシーのような合言葉であり、このアルバムをお手本にし、アルバムが出来上がりました。 ほんの何時間か話しただけなのに一生響くようなお話をたくさんしてくれたNOUさん。NOUさんの家の前は米軍基地で、家から見る景色はアメリカの街並みが窓いっぱいに広がっており、日本側からその景色を見つめ、絶対に行けないアメリカをインスパイアにし曲を量産しているようで、毎日1曲作るということを決め曲を作っているというお話は衝撃的でした。ライブの時にビートが荒々しく数を増す瞬間に髪をとめていたクシを外し、長い髪を荒く揺らしていた姿忘れられません。NOUさんから、君の音楽は従姉妹のような音楽だからとても似ていると、一生自慢できるお言葉を頂きました。この言葉を糧に今も生きています。
今回身近なアーティストが多くをしめましたが、始まりはとても遠かったはずの電子ミュージックは時を経て、より市民の音楽となったことを感じて欲しかったのと、その国に住んでいる住人が国の文化や四季、時代を感じながらリスナーと国の距離感が出来るだけ近い音を感じてほしいという意図もありました。私はそこに国産性を感じるわけで、日本という国の中で起こったリアリティ、一瞬が永遠になる魔法こそが音楽だと強く信じていますので、自分の国で産み出されたその永遠はこれほどに色とりどりの輝きを放っているということを感じて欲しいなぁなんて思ったりもしていました。あなたの隣に住んでいる住人からこのような音楽が鳴っている可能性があるのです。
しかし、今回何が嬉しかったかというと、国見小路cla-6が出すグルーヴが生まれてきているなぁと感じれたことでした。 毎回集まる仲間とぶらっときたお客さんが音をbgmにbangする国見小路cla-6というグルーヴは自分自身にまだまだ色々と気付かせてくれます。 マシン親分が国産の電子音楽といえばやはり、ゲーム音楽で、マリオのゲームの中で繰り広げられている音こそが国産ファンクであり、そのファンクをいち早くディグしたのは日本人では無く、黒人たちだったという話しなどもうワクワクしました。 tawaki氏が当時よく聴いていたアメリカのヒップホップなどでマリオの音源なんかをサンプリングして楽曲を作ってるグループなどが出てきたりして、狂った方向に行ってしまったと当時はガックリきていたようなのですが、今マリオの音楽を聞き直した時に国産のファンクネスに気がついたようで、当時のアメリカのヒップホップの臭覚の凄さに今になって気がついたという話もとても興味深かったですね。 次回はどういうテーマでいくかは未定なのですが、早いうちにまたやりたいと感じました。


















