ギター塗装タッチアップ修理 Martin 00-18e
とても珍しいマーチン00-18eの塗装タッチアップ修理をご用命いただきました。
修理は2か所、バック板のヒール下とサイド板の6弦側です。構造的に修理しなくても問題がない「傷直し」は基本的には不要と考えていますし、ヴィンテージギターは塗装修理を行うことによってギター自体の価値が下がってしまうこともありますが今回の場合は2か所とも過去に修理された痕跡があり、修理痕がかなり目立っていましたのでタッチアップ(部分塗装)で出来るだけ目立たないようにする方向で作業を進めました。
バック板の修理部分です。一部は大きく色が剥げています。
その周囲にも塗膜が陥没した箇所が無数にあり蛍光灯の光を反射させるとご覧のように凹凸がはっきりと見えます。ストラップか何かが塗膜と反応し溶かしたのでしょうか。
サイド部分です。こちらは凹んだ部分を研磨したのでしょうか。その周囲の色が剥がれていてその上に何か塗料を塗ってあります。
こちらも光に反射させると塗膜の凹凸がはっきりします。
まずは色の剥げている部分を着色して周囲となじませます。筆塗りで少しずつ色を重ねます。
サイドは先に上に塗られている塗料を剥がします。下地まで剥がしてしまわないように慎重に。
こちらも筆塗りで色合わせをします。
次に凹み部分にラッカーの原液を筆塗りし肉盛りします。ドロップフィリングと言われる手法です。数日間乾燥させた後に研磨して平面にします。凹みが小さければドロップフィリングのみで磨いて仕上げる事も可能ですが、2か所とも凹みが大きく以前の修理で周囲が研磨されて塗膜が薄くなっていると判断したためさらに上から部分的にクリア塗装を行います。
周囲をマスキングしてラッカークリアを吹き付けます。ラッカー塗装は乾燥により溶剤が揮発して肉痩せするので最後の塗装から3週間ほど乾燥させてから最終研磨をします。
仕上がりです。蛍光灯の光も歪みなく反射しています。
光の加減によっては着色箇所の色合いの違いが分かりますが何も言われなければどこを修理したのか分からないでしょう。今回はラッカー塗装で色の濃い部分ということもありうまく修理できましたが基本的に部分塗装での色合わせは難しいので小さな傷でも一面すべて塗り直す必要がある場合が多いです。そうなると費用が高くなってしまうのでそのまま何もしない、傷を気にしないというのが一番の修理方法になることが多いです。
ちなみに00-18e、表側はこうなっています。これだけ特徴のあるギターですがしっかりとヴィンテージマーチンの音がします。
このたびはご用命まことにありがとうございました。










