すばやく手が動くこと。腕が磨かれていること。これはデザイナーにとって、最も大事なことです。自分の手で形にできないと、形を思い浮かべてから実現するまでに時間がかかってしまい、結果として想像力にも負の影響が出てしまいます。すぐにつくれるように腕を磨いておくことは、想像と実現の距離を近づけてくれるのです。
表現の手法は、スケッチでもCG でも模型でも、どんな方法でもかまいません。僕は小学生の頃からコンピュータを使っていたので、コンピュータでデザインすることが身体の一部になっています。だからスケッチの段階からフォトショップやイラストレーターや3DCG を積極的に使います。筆を持つのも好きですが、最終のアウトプットになる表現手法を最初から使うと、デザインプロセスがスムーズになるからです。
その場で可視化できるほどに表現のスピードを磨いていくと、クライアントやチームとミーティングをしながらライブなプロトタイピングが可能になります。つくる時間を共有することで、相手は一緒につくっている実感が得られ、意識の共有がスムーズになります。カウンターで食べる寿司屋のようなもので、その場で手をさらけ出した時、その手が確かであれば絶大な信頼を得られます。また逆もしかり、嘘があれば一発で見ぬかれます。ミーティング終了時には、ゴールが可視化されている。そんな夢のように生産的な会議を実現するためには、間のびさせない手のスピードと表現のクオリティ、そして会話しながらでもつくれる余裕が必要です。プロジェクトの躍動感は、生産的な時間から生まれます。
可視化のスピードアップは、プロトタイプのペースを上げることに繋がるので、結果として高いクオリティにも繋がります。僕がお会いした一流のデザイナーの方は例外なく、自分の手でつくるスピードが速い方ばかりでした。まずは、表現の基本をしっかりと身につけ、可視化できる腕を磨きましょう。それは誰にも裏切られることのない、あなたの道を駆け登るための近道です。
Photo : Handmade Structure(2013) 紙の可能性を建築構造設計家の視点から提案する展覧会のアートディレクション。DMには建築の折板構造を折れる加工を施すことで、手に取れば展覧会のコンセプトが伝わるようにデザインした。 Client : 株式会社竹尾














