2026-7月号
アンビグラム作家の皆様に同じテーマでアンビグラムを作っていただく「月刊アンビグラム」、主宰のigatoxin(アンビグラム研究室 室長)です。
『アンビグラム』とは「複数の異なる見方を一つの図形にしたもの」であり、逆さにしたり裏返したりしても読めてしまう楽しいカラクリ文字です。詳しくはコチラをご参照ください⇒アンビグラムの作り方/Frog96
◆今月のお題は「熱」です◆
今月は参加者の皆様に「熱」のお題でアンビグラムを制作していただいております。皆様からの熱のこもった作品が集まっておりますので、熱く盛り上がりながらお楽しみください。
「熱海」 鏡映式旋回型
:コムコム氏
言わずと知れた静岡県の温泉地。海中から温泉が湧き出し熱い海に変わったことに由来します。 「熱」のほうが走饒の文字に見えそうなところ、ジグザグのおかげで迷わず熱と読めます。面白いバランスです。
「電球」 旋回型
:れおじゃぱん氏
ふつうは白熱電球のことを指します。LED電球と違い発熱します。 極細の線がテクニカルで切り替わりが自然です。「雨/求」もぴったりですね。⚡のモチーフもステキです。
「白熱電球」 映進重畳型
:たこぬ氏
白熱電球は、電気抵抗でフィラメントを白熱化させて発熱とともに光ります。 書体の変化は電球が寿命を迎えるさまを表しているように見えます。「灬」に対応する装飾は電球モチーフでしょうか。超絶対応を実現しつつ、背景も含めステキなデザインになっています。
「収れん現象」 図地渾然型
:ka9dai氏
太陽光が凸レンズや凹面鏡によって屈折・反射され、一点に集中する現象。熱も一点に集中し高熱になります。 「れん」を一文字分として4C3の図地渾然。カーブを巧みに使い、きれいな字形が表現されています。「現象」の再現性がすばらしいですね。
「風邪」 回転同一型
:lszk氏
風邪の主な症状には発熱があります。 「邪」の部分単体ではかなり本来の字形とずれていて読みにくそうなのですが、全体で示されると「風邪」としか読めない絶妙な字形です。
「熱あるかも」 回転同一型
:のこぺ氏
これは風邪かもしれませんね…… 漢字もひらがなも手書きのようなラフな字形ですが「熱」が強めの字形なので、概形が揃っていれば読みやすいのかもしれません。とてもかっこいいデザインです。
「微熱」 旋回型
:ヨウヘイ氏
明確な定義はないようですが、37.5℃以上の「発熱」には達していないが平熱よりは高い状態のこと、と言われることが多いです。 示されればなるほどの対応付けです。全体的にぴったりの対応ですが「彳/灬」の対応が自然でよいですね。
「解熱」 回転同一型
:T.A.氏
病気などで上がった体温を平熱に戻すこと。 「灬」の対応先は装飾ですが題字にぴったりの装飾ですね。書体とギミックがかみ合っていて、とても読みやすいです。
「知恵熱」 鏡映同一型
:ちくわああ氏
生後半年~1歳ころの乳幼児が突然出す原因不明の発熱のこと。 縦太横細のお作法で整ったきれいな作品です。2文字:1文字の対応ですが自然なバランスです。
「ひえひえ/ちんちん」 旋回×回転共存型
:kawahar氏
とても冷たいこと(標準語)と、とても熱いこと(東海弁・北陸弁)。 絶妙な字形による4面対応です。穴の開かない結びがポイントですね。色もRGBで逆の値になっていて面白い作品です。
「鉄は熱いうちに打て」 回転重畳型
:結局24氏
物事を行うなら関心や熱意が高まっている好機を逃すな、という意味の諺。 文字送りが面白い作品です。「熱」が回転中心ですがきれいに形が出ていますね。ウロコを作るような書体がうまく機能しています。
「超かぐや姫!」 回転同一型
:イミフ氏
Netflix公開後に劇場公開されるなど今年とても熱い作品です。 対応付けのバランスが考えられていて読みやすいです。オリジナルに似せたデザインもステキです。✦の使い方もとても良いですね。
「熱愛」 交換式旋回型
:兵士氏
相手を熱く愛すること、また、お互いに愛し合っている状態。 縁取りの効果で付け離しの切り替わりが自然です。字形はだいぶ崩れているはずですがなぜか読めてしまいます。
「餡掛け」 敷詰回転同一型
:あくらい氏
主に片栗粉を使ってとろみをつけた液体を料理にかけたり具材に絡めたりする調理法。 「掛」の嚙み合わせの部分が楽しく、対応先がキレイに「飠」になるのが面白いです。等幅ストロークだけでうまくいっているのが不思議な素材です。
「IH非対応」 旋回型×2
:給食だより氏
IHは「Induction Heating(電磁誘導加熱)」の略。IH対応の鍋じゃないと加熱されません。 「IH」を一文字とみると「非」の対応付くのはなるほどです。作者徳野コンパクトな対応がぴったりはまっている楽しい作品です。
「熱帯低気圧」 回転同一型
:Jinanbou氏
赤道に近い熱帯・亜熱帯の暖かい海上で発生する低気圧。 文字が中心に向かって吸い込まれ、字形が崩れてしまっている感じが対応付けに生かされています。面白い作品です。
「熱帯低気圧」 回転重畳型
:超階乗氏
中心付近の最大風速が17.2m/s以上のものは特に台風と呼ばれますが、台風も熱帯低気圧に含まれます。 文字組が環状配置の面白い作品です。「気/灬」の思い切った対応付けを実現するためのヘタ字が効果的です。
「異常気象」 回転同一型
:かさかささぎ氏
気象庁の基準では、ある場所・ある時期において30年に一度以下の頻度で発生する気象現象と定義されます。 対称図形に影や縁取りを付けたのではなく、そこも含めて対称図形になっているのがよいですね。どの文字を見てもとてもかっこいい作字です。
「酷暑日」 回転同一型
:Σ氏
一日の最高気温が40℃以上の日のこと。 ひまわりの絵も取り入れたデザインで面白いです。「酉/日」の対応を実現させるギミックのため全体がひげ文字になっているようです。
「火加減」 回転同一型
:lszk氏
加熱調理の際、鍋やフライパンに当てる炎の強さや熱量を調整すること。 文字の角度と大きさのバランスがうまくとれていて、「減」の省略も絶妙です。気持ちよい対応の素晴らしい作品です。
「遮熱」 図地反転鏡映同一型
: いとうさとし氏
太陽の直射日光などによって発生する輻射熱を跳ね返し、熱が伝わるのを防ぐこと。 どちらの文字もきれいに字画が出ていて読みやすいです。「灬」同士の噛み合わせが気持ちいいですね。「土」の上が飛び出していなくても読めるのできれいな対応付けが実現できています。
「サーモグラフィー」 回転同一型
:てるだよ氏
物体から放射される熱を専用のカメラで感知し、温度分布をカラーグラデーションで表現する技術。 対応付けのあまりがあまり気にならないようなうまい配置です。濁点は1つしかないのにデザイン中には6つちりばめられているのがステキです。
「熱膨張」 旋回型
:つーさま!氏
物質が温められて温度が上がるとその体積や長さが大きくなる現象。 3面対応の旋回型です。端点部分のみ破線状になっている処理が認知の切り替わりに効果的です。「灬/彡/装飾」の切り替わりが楽しいです。
「昇華熱」 回転同一型
:とりけとん氏
物質が液体を経ずに固体から気体へ直接変化する際に、周囲から吸収する熱エネルギーのこと。 お作法のそろったステキな作字ですね。「昇華/熱」の2文字:1文字の対応でも自然なバランスに見えます。上手な隙間処理により付け離しがうまく切り替わっています。
「破局噴火」 旋回型
:すざく氏
地下のマグマが一気に地上へ噴出し、近代国家一つを破滅させるほどの破壊力を持つ超巨大噴火の通称。 噴石を彷彿させる雫状のパーツをちりばめて装飾と文字を融合し、さらに文字の見切れによって切り替わりを自然に認識させています。文字の大きさのバランスも絶妙です。
最後に私の作品を。
「超新星爆発」 回転重畳型
:igatoxin
質量が大きい巨大な星がその寿命を迎える瞬間に、信じられないほどの超高温・超高圧とともに宇宙空間で大爆発を起こす現象。ピークの温度は約1000億Kに達するともいわれます。
お題「熱」の月刊アンビグラム祭、いかがでしたでしょうか。作品をお寄せいただいた作家の皆様には深く感謝申し上げます。
さて、次回のお題は「幻」といたします。幻覚、錯覚、蜃気楼、幻日、幻の魚、夢幻、幻影、幻獣、幻肢痛、諸行無常、胡蝶の夢、ゴーストライター など、作者が自由に幻というワードから発想・連想してアンビグラムを作ります。
締切は7/31、発行は8/8の予定です。 次回もよろしくお願いいたします。
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