両隣1mから160mへ ― 27mロングワイヤーと届く感触
現在愛用しているHFのアンテナはロングワイヤーアンテナです。時折HFのQSOでアンテナについて尋ねられます。
これまでロングワイヤーアンテナとしては過去にいくつか作ってきましたが、正確に何セット作ったかはよく覚えていません。
ワイヤーアンテナはワイヤーダイポールを運用したこともありましたが、たくさんのアンテナを一度に張るとクモの巣のようになってしまい、ご近所からの印象も悪くなりそうで悩みの種でした。
そこで非対称ダイポールを模索した結果G5RVにたどり着きました。 完成まではいくつも苦労がありましたが、3.5MHz~28MHzまでカバーできるようになりHFのQRVが大変楽しくなりました。
160mバンドSSBの解禁
しかし2020年に1.8/1.9MHz帯のSSBが解禁になり、夜ワッチしていると、ノイズの海の中からいくつかの局が浮かび上がってきました。
試しにG5RVとFC901で調整すると、SWRは1.5以内に落とすことができました。
そこでCQにコールしてみました。
しかし、ほかの局がゆっくりとQSOを重ねる中、こちらからのコールはまったく届く気配がありません。
自分の波が、すっと夜の空に吸い込まれていくようでした。
無線ではよくある話です。 それでも、なんとも切ない夜が何日も続きました。
もう一度、届くアンテナを探すことにしました。 どうしても、160mで届く電波を出したかったのです。
尽きる所ロングワイヤーアンテナにたどり着くのですが、問題は都市ノイズとの折り合いが良くなさそうな事です。
エレメント長やカウンターポイズの展開もケースバイケースです。G5RVは空中で両エレメントを展張できるのでノイズはまだましです。
いくつかのエレメント長の事例がネットで散見され、何種類も試してみました。160mバンドが目標なので、18mくらいから何本もギボシ付きのエレメントを用意し、何度も組み換えては実験を繰り返しました。
週末の挑戦
そうはいっても土日の朝1時間くらいしか試す事が出来ません、リグの前と小屋根とテラスを駆け巡り、アンテナを試します。 妻が洗濯物を干す中を駆け巡ることもしばしば。 体重も1㎏瘦せたかもしれません(笑)。
あるベテランOM氏に相談できる機会があり、カウンターポイズにはアーシングで使用される網線が一番いいとヒントをもらいました。 早速試したところ、うまくいきそうな感触。
エレメントもどんどん長くなっていきます。長くなると重量もかさみ風で揺れる。SWRも安定しないし、ご近所の方からも心ぼそく見えるのではと心配になりました。 そこで、ここは思い切って1.25sqのVSFを使用することにしました。 エレメントが細くなったことで、風に対する揺れも小さくなり見た目にもすっきりしました。
家には3か所ポールを建てる事が出来るので、結局水平オープン・デルタ・ループ状に27mを張る事が出来ました。 そして各バンド同調が取れることが判明。およそ2か月間の挑戦でこの結果にたどり着きました。
メインエレメントは27mで1.25sqのVSFケーブルを使用しています。カウンターポイズは1本のみ16.5mでTBC8.0sq(錫メッキ平編銅線)を使用しています。こんな感じで落ち着きました。
これで1.8~30MHzまでQRVできるようになり、 1.8MHzでもログが少しずつ増えていきました。
しかし160mバンドは決して優しくはありません。 ノイズに埋もれた電波をFT901の機能を駆使して音声を浮かび上がらせます。
両隣1mの住宅密集地でも、160mバンドは出られるのです。
その取り組みは、後にCQ誌にも掲載されました。 けれど、私にとっての変化は、ログが増えたことよりも、 “届く感触”を初めてつかんだことでした。久々のQSOのドキドキを楽しみました。
現在の構成
引っ越しを機に、もう一度張り直しました。 場所が変わり、以前より少しゆとりのある空間に、アンテナも新しく組み直すことになりました。
環境の変化もあってインピーダンスはぐっと下がりました。
いくつもUnUnを自作し、最終的には4:1で落ち着きました。 垂直に4mほど立ち上げた後、ほぼ正三角形に展張しています。 屋根が金属系ということが影響したようです。
この構成で1.8MHz~50MHzまで運用しています。
今回の特徴は、50MHzと24MHzはチューナーレスで運用できる事です。そして、他のバンドはFT-991AMの内臓チューナーで運用できる点です。 もちろんアンテナ直下とリグ直後にはCMFを入れていますが、案外うまく動作しています。
アンテナの機嫌の悪い時もあります。 風が強い時、メインエレメントが大きく揺さぶられると、内臓チューナーで合わないバンドも出ます。
恐らくカウンターポイズとの距離が変わるためだと思います。ワイヤーアンテナならではのご愛敬ですね。
ある強風の時大きくチューニングが合わなくなった日がありました。 翌日アンテナの点検をしたところ、カウンターポイズの位置が30cm~50cm程ずれていました。 元の位置に直したところ調子が戻りました。 正直、たった30cm~50cmのズレで、と思いましたが、これはカウンターポイズが一本のためかもしれません。
ワイヤー・アンテナならではの風による影響は、やはり仕方がないのかもしれません。 そういった点ではロータリー・ダイポールも良いなと思う事もあります。平衡給電のアンテナならもう少しノイズも下がるかもしれません。 しかし、1.8MHzもQRV出来るロータリーダイポールなんて都会の住宅地ではかなり厳しそうです。
HFはマルチバンドのロータリーダイポールなどにあこがれますが、160mバンドのQRVは、今後もロング・ワイヤーアンテナで挑戦し続けると思います。
リグやチューナーはどんどん進化して行きます。 アンテナは住宅事情や運用スタイルによって変わるものの、大きな変化はないように感じます。










