10.20 サカイ / アンダーカバー (10.20 SACAI / UNDERCOVER)
AFWT 2018SS
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【2018年春夏AFWT ハイライト5】両者の引き起こすケミストリー「10.20 サカイ / アンダーカバー」
今回のファシッションウィークで最大の話題を集めたのは、 「サカイ(SACAI)」と「アンダーカバー( UNDERCOVER )」の合同ショーだ。
「アマゾン ファッション」が仕掛けるプログラム「アット トーキョー(AT TOKYO)」の目玉企画。東京・信濃町の聖徳記念絵画館前に特設テントを設営して、ファッションを学ぶ学生も招待する形でショーが始まった。
ショーのタイトルは「10.20 サカイ / アンダーカバー(10.20 SACAI / UNDERCOVER)」。合同ショーで披露したのは、基本的に先のパリ・ファッションウイークで両ブランドが発表した2018年春夏コレクションとなるが、両ブランドが一緒に発表するということもあり、ショー構成や一部アイテムにパリとの違いがあり、両者の引き起こすケミストリー(化学反応)にも関心が集まった。
◆サカイ(SACAI)
「サカイ」から先にランウェイがスタート。会場に設けられたランウェイの向かって左側からモデルが登場し、戻っていく。作品はお得意のハイブリッドが冴える。ミリタリーエッセンスを生かしながら、複数の要素をドッキングさせて、テイストミックスの着姿に仕上げている。素材ミックスや大胆アシンメトリーも装いに起伏をもたらしていた。
目を惹いたのは、ジャケットやブラウスを胸の高さで無造作風に巻いて、袖を前で結んだように見せるアレンジを利かせた服。ビスチェのようにも見えるフォルムを生み出し、着栄えを伸びやかでスポーティーに見せていた。ジャケットを巻いたパターンはコルセットのようでもあり、複雑なレイヤードに導いている。
◆ アンダーカバー(UNDERCOVER)
「サカイ」のショーが終わると、天井からシャンデリアが降りてきて、「アンダーカバー」のショーがスタート。「サカイ」のモデルは左から登場したが、「アンダーカバー」では右から現れるという趣向。まるで東西で競い合うかのよう。パリと同様に、全てのモデルが2人ずつのペアで、手をつなぎ並んでウォーク。着ているウエアも異なるデザインが響き合う仕掛けだ。ミニワンピースに象徴されるガーリーな装いが目立った。
ファニーとダーク感を兼ね備えたオリジナルモチーフが主張を帯びる。著名な現代アーティスト、シンディ・シャーマンの顔写真を大きくプリントしたTシャツワンピースも意味ありげな表情。チアフルな色を多用しながらも、どこかに毒をはらんだような柄使いが女性の内面を照らし出していた。ショーの最後にはキッズがペアで一斉に現れてフィナーレを飾った。
これで終わりかと思いきや、白衣のようなベンチコートを羽織ったモデルが一斉に出現。正面にプリントされていたメッセージの「what comes around gose around」は「因果は巡る(良くも悪くも)」という意味。
AT TOKYOのサイトで紹介されているとおり、この合同ショーの下敷きになったのは、1991年に「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」と「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」が開催したメンズ合同ショー「6.1 THE MEN」。約15年ぶりの東コレとなった「アンダーカバー」、初の東コレとなった「サカイ」それぞれの思いを、劇的な構成が映し出しているようだった。
Text by Rie Miayata (http://www.apalog.com/riemiyata/) Courtesy of SACAI&UNDERCOVER
【2018年春夏AFWT ハイライト4】 大御所の参加、若手の躍動で盛り上がり 「大人モード」に深み
(写真 TOGA)
「アマゾン ファッション ウィーク東京(Amazon Fashion Week TOKYO、AFWT)」2018年春夏は、伸び盛りの若手と成熟の実力派ブランドが持ち味を発揮する一方、パリ、ロンドンで発表している日本のトップブランドが参加するというサプライズも加わって、これまでで最大の盛り上がりを見せた。
メディア関係者やスタイリストなどの業界人にとどまらず、著名人やインフルエンサー、ファッション学生などの来場が増え、会場内の華やさと話題性もアップ。クリエーション面でもグローバルなトレンドを映し出しているのはもちろん、若手のチャレンジや、中堅・ベテランの打ち出す「大人モード」など、幅広い層に受け入れられそうなノーエイジ提案、ダイバーシティーへの目配りなどが今の時代の空気を写し込んでいた。運営の仕掛けにも新発想が生かされていて、AFWTの発展を期待させた。
◆トーガ(TOGA)
ロンドン・ファッションウイークで先に2018年春夏コレクションを発表済みの「TOGA(トーガ)」は東京でのお披露目に当たって、メンズモデルを加えるという趣向を用意した。ロンドンではおごそかなムードに身の引き締まるような大聖堂で発表。
東京で舞台に選んだのは、開館10周年の国立新美術館。今回はAmazon Fashionのスペシャルプログラム「AT TOKYO」の一環であると同時に、ブランド創立20周年の節目となるショー。記念の晴れ舞台となったこともあって、大勢の著名人が詰め掛けた。
メンズモデルも登場したおかげで、ウィメンズオンリーだったロンドンで見たときよりもコレクション全体としてのジェンダーレスなたたずまいが際立った。「Holes,Suits,Crumpled(しわくちゃに)」というメッセージが物語るように、既成のルールや常識を軽やかに踏み越えるようなクリエーションがたたみかけるように繰り出された。解体のひな形になったのは、英国式テーラーリングの象徴である紳士の装い。
たとえばジャケットは身頃だけがスーツライクだったり、極端にショート丈のジャケットだったり。透明ビニール素材のコートはつやめきを帯びた。両袖をばっさり裁ち落としたかのようなジャケットは肩口にほつれを残した。繰り返し登場したボトムスはひだの細かいプリーツスカート。大胆に脚が透けるトランスペアレント仕立ても披露した。あちこちにカットアウト(くり抜き)を施して素肌をのぞかせ、アシンメトリーも多用。片袖だけをパフィに仕上げたり、ノースリーブとロングスリーブを組み合わせたりと、ドラマティックに演出した。
メンズでは背中にベルトのバックルを回すような、ウィットに富んだ提案が相次いだ。英国服飾文化に敬意を払いつつ、踏み込んだ解体と再構成で、20年のクリエーションを凝縮したかのようなコレクションにまとめ上げていた。
◆ハイク(HYKE)
早くも東コレの主役的存在となった「ハイク(HYKE)」。もともとミリタリーやアウトドアに根っこを持つブランドらしく、タフなムードを下敷きにしつつも、エレガンスや軽やかさを注ぎ込んでダイナミックに再解釈してみせた。 圧倒的な構成力が奇想のシルエットに動感を備わらせている。
キーアイテムとして打ち出されたのは、ミリタリージャケットをスーパーショート丈に切り詰めたようなボレロ風のアウター。肋骨辺りのラウンド裾にギャザーを寄せて、フェミニンな雰囲気をまとわせている。胸から上しかないボレロ風ジャケットはMA-1ブルゾンにも応用して、新しいコンパクトアウターにトランスフォームしてみせた。
強さと可憐さを交じり合わせている。ミリタリー風のノースリーブ・ジャケットには、透けるプリーツスカートを引き合わせた。カーキ色を多用しながら、シースルーのブラウスの袖だけを生かしたアームカバーのようなフェミニンアイテムと交わらせ、武骨さとたおやかさを同居させた。黒系パンツの上から、シフォン系のプリーツスカートを重ねるボトムスレイヤードは繰り返し登場させた。
アウトドアの有力ブランド「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」とのコラボレーションを披露。ドレスのように着丈が長いアウターはパイソン柄を配してサプライズを呼び込んだ。フーディーもドレスライクにリモデル。 アウトドアレディーの装いを組み上げた。
全体のシルエットは縦長のレイヤード。ボレロ風ジャケットを軸に、ムードや質感を立体的に調和させ、持ち味のミニマルにジェンダーレス感と茶目っ気をプラスし、別格のクリエーションを見せつけていた。
◆アクオド バイ チャヌ(ACUOD BY CHANU)
ファスナー(ジップ)使いに強みを持つユニセックスブランド「アクオド バイ チャヌ(ACUOD BY CHANU)」は戦国武将のイメージを持ち込んで一皮むけたようなコレクションを披露した。織田信長に着想を得たというデザイナーは甲冑(かっちゅう)をモダナイズ。勇ましさとパンク感をねじり合わせた。
信長が好んで舞ったとされる、幸若舞(こうわかまい)の「敦盛」でスタート。続いて、ロサンゼルス生まれの激しいダンス「KRUMP(クランプ)」の パフォーマンスがあり、戦国時代と現代を交差する雰囲気が立ちこめる中、ファーストルックが登場。レザージャケットは和服風に斜めに打ち合わせる仕立て。肩からひじにかけては大ぶりなアイレット(鳩目)をびっしりあしらい、よろいのように見せている。
袖や裾のあちこちにファスナーを配して、自在に開け閉めできる工夫を施した。ひじから先を着脱できるライトアウターはシーズンレスに着られそうだ。 「ZIP OUT TO THE WORLD」というテーマを掲げて、ファスナーを勢いよく開閉する際の音を銃撃に見立て、「世界を撃つ」という気概を込めた。
ファスナーと鳩目の2大ディテールに加え、今回は家紋モチーフを投入した。信長が使った織田木瓜(おだもっこう)をはじめ、武田菱、真田六文銭など、武将の紋所を取り入れて、ジャパネスクな風情を醸し出している。漢字モチーフも目新しい。当時を象徴する「下剋上」は、戦国時代と現代ファッション業界に共通した「におい」をかぎ取ったのだそう。「アクオド」に当てた「新黒扇動」もデザイナーの心意気を感じさせる。
甲冑は武装であると同時に、主君や敵に己をアピールするツールでもあった。だから、目立って威圧的な色使いも好まれた。甲冑の歴史を学んだというデザイナーは甲冑の柄や色を自分流にアレンジしてオリジナル柄のプリントに昇華。背中にも家紋を大きく配した。これまでは黒主体だった装いにレッドやイエローを持ち込んで、ワクワク感を高めた。
韓国出身のデザイナーが日本史に根差したクリエーションに挑んだ、文化と歴史のクロスオーバーという世界トレンドから見て興味深いアプローチだった。 ストリートやパンクのムードが強かったテイストにカルチャーミックスの深みが加わっていた。
◆ファイブノット(5-KNOT)
過去に「Ujoh」や「CHRISTIAN DADA」などが受賞している、世界での活躍が期待されるデザイナーに贈られる賞「DHL デザイナーアワード」を、鬼澤瑛菜氏と西野岳人氏の2人が手がけるブランド「ファイブノット(5-KNOT)」が受賞した。今回のショーでは軽やかなサマーレイヤードを提案。受賞にふさわしい表現力を証明した。
ジャケットとパンツのチェック柄セットアップに、レーシーなブラウスやストライプ柄のロングシャツを差し込んで、趣の深い重ね着を組み立てている。ストライプ柄ワンピースに花柄ベストを重ねるレイヤードも味わい深いテイストを生んだ。イエローを差し色的に使って、ジューシーな着映えに導いている。
あちこちから短いコードを垂らして遊ばせるディテールが着姿を弾ませた。デニムの質感を巧みに生かして、気負わないムードを漂わせている。つやめく細身パンツ、透明ビニール風のライトアウターは世界トレンドのケミカル質感を目に飛び込ませる。全体に若々しくてアクティブなたたずまい。程よくウィットを忍び込ませ、チアフルな装いにまとめ上げていた。
◆ハナエモリ マニュスクリ(HANAE MORI MANUSCRIT)
「ハナエモリ マニュスクリ(HANAE MORI MANUSCRIT)」は、絶え間なく流れ続けるというニュアンスを帯びた「Flux」をテーマに選んで、流麗な着姿を提案した。会場の真ん中に置かれたのは、大きなフラワーデコレーション。「花」を名前に抱くこのブランドならではの壮麗な演出だ。
テーマでうたった通り、流れるような落ち感のあるシルエットでフェミニンを演出。エレガントな装いは場面を選びがちだが、今回用意されたのは、様々なシーンで使えそうなワンピースやブラウス、スカート。過剰なデコラティブを遠ざけ、自在に着こなしやすそうなドレッシーウエアをそろえた。
ギャザーやラッフルをあしらって、優美なムードを醸し出している。キーモチーフである花柄は健在。ユルシスブルー、アグリアスレッドなど、花に由来する色を用いて、ナチュラルなあでやかさを引き出した。一方、スポーティーなディテールのドローコードも取り入れて、若々しい気分を引き寄せている。
上品なテイストはそのままに、左右非対称のアシンメトリーなフォルムで着姿にドラマを宿した。布の表情が際立つテキスタイルを選び抜いて、無用に飾り立ててはいないのに、自然とノーブル感が残る装いに整えていた。
◆ミントデザインズ(MINTDESIGNS)
文化や歴史のクロスオーバーが世界的なうねりとなる中、東京では「ミントデザインズ(MINTDESIGNS)」がその潮流を受け止めた。中国と西洋を交差させつつ、その両方と接点を持つ日本ならではのマリアージュを試した。キリスト教文化を絡ませながらやわらかいタッチのカルチャーミックスを紡ぎ上げた。
ランウェイ上でモデルに写真家がカメラを向けるという、フォトシューティングのような演出でショーが進んだ。中国のイメージを帯びていたのは、立ち襟のマオカラーや、陶磁器風のシノワズリー柄。腰に巻いたひも状のベルトもオリエンタルな風情。ボディーを締めつけない、ゆったりしたシルエットにも東洋テイストが感じられた。
半面、中国から見た西洋のシンボルはキリスト教的アイコンに託された。十字架や天使のモチーフがあしらわれ、コレクション全体で東から西へ、西から東へというまなざしの交錯を示している。薄手のウエアを不規則な打ち合わせで組み合わせた、重層的なレイヤードも文化の交差を印象づけた。
ピンク、グリーンなどの淡いカラートーンに交じって、中国で好まれる赤が主張。「FASHION WASTE COLLECTION」の文字がプリントされた、ごみ袋モチーフが毒っ気を添えた。タッセル飾り付きのシューズが着こなしにマニッシュなムードをうっすらと上乗せ。左右のアシンメトリーや上下のアンバランス量感も着姿にリズムを添えていた。
Text by Rie Miayata (http://www.apalog.com/riemiyata/) Photo by Ko Tsuchiya
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エンハンス (ENHANCE)
AFWT 2018SS
AFWT初参加のエンハンス(ENHANCE)。プルドゥ株式会社におけるコレクションラインのブランドとして2016年に始動した。デザイナーは竹口正和。ブランド立ち上げ以降展示会でのコレクション発表を続けていたが、国内・海外での認知度向上を狙って今回AFWTに参加した。
ブランドとしてのテーマは、デザイナーの竹口氏が思い描く理想の女性に着て欲しい服、着てもらえるような服を作ること。長年、ヨウジヤマモトのプレスをし、ファッションの最前線で活躍されていた荒木節子女史が竹口氏にとって永遠のミューズだといい、その荒木女史に認めてもらえるような服を作っていきたいのだと語った。
2018春夏コレクションは、テーラリングやグランジをミックスさせながら、デザイナーの強い意志を感じさせる無骨なモードスタイルを紡ぎ上げた。袴を思わせるようなボリュームのあるワイドパンツ、引き裂いたようなディテール、そしてパンツスーツに下駄を合わせるスタイリングなど、時代に流されない、 ブランドの確固たる信念をコレクションで表現していた。
デザイナー 竹口 正和
Text by Yumi Yamane Photo by Ko Tsuchiya
パラドックス トーキョー (PARADOX TOKYO)
AFWT 2018SS
デザイナー 鉄羽 淳平
公式サイトはこちら
Photo by Ko Tsuchiya

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