
Kiana Khansmith

if i look back, i am lost

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@ookinamizu

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黄色い空の煙突
黄色い空の奥に見える 立体駐車場 そして煙突 煙突 おじいさんは 焼かれた器 おじいさんは 砂ぼこり
黄色い空は山も隠す 車のエンジン そして煙突 煙突 おばあさんは テレビの前 おばあさんは スポンジ頭
庭では一輪 二月の薔薇が咲いたとさ
同じ名の人
同じ名の人は、世界中を旅してきたと言う。精神の鏡を覗き、神を見つけた彼は、しかし時には残酷で子犬にさえ牙をむく。薄くなりかけた髪を束ね、子どもと同じ年齢のわたしにも友人のように笑いかけてくれる。「楽しむためだよ」と。わたしの怯えを探し当てたかのように。
不安のにじみ
夜更けの天井を眺めていると、ネズミのしっぽが頭をもたげる。掌には何も握られていない。煙さえも、逃げ道を探して隙間風と供にすり抜ける。ベッドの下には怪物がいない。意識は潜れず滞留する。 醜い野鳥のさえずりも聞こえず、冬眠から目覚めた蛙も凍ってしまった。パッパラパーの皮肉が脳みそを這い回っているような気がしてならない。

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貴婦人の鏡
不意に手が滑って貴婦人は手鏡を落とした。彼女はぎょっとして緑のビロード絨毯に埋もれてしまった手鏡を覗き込む。幸い鏡面には傷ひとつヒビ一つ入っていなかった。貴婦人は胸を撫で下ろして屈み、その美しい赤い唇と自慢の長いまつげをうっとりと眺めようとした。だが、念入りに磨き上げられた鏡に映っているのは意識の喪失のように暗い闇だった。貴婦人は思わずきゃっと可愛らしい悲鳴をあげた。なんと手鏡からにょきにょきと黒々としたぶた鼻の小人が出てきたのだ。 小人は言う。「これが悪魔というものだ」 貴婦人はがたがた震えながら言った。「こんなことってあるのかしら」 「目の前にあるんだからそうだよ」 「幻かもしれないのよ」 「幻だって目の前に現れるものだ」 「でも幻は消えてしまうわ」 「消えない命があるかい?」 「そんな意地悪を言わないでちょうだい」 悪魔は笑った。 「なぜ笑うの?」 貴婦人はうわずった声でたずねた。 「悪魔が意地悪をしないでどうするっていうのさ」 悪魔はさらにけたたましく笑った。 貴婦人は悪魔のいやらしい笑い声とその笑みに耳を塞いで叫んだ。「もう、私の前から消えてちょうだい! さもないと……鏡を割ってしまうわよ」 「鏡を割ってしまったらその美しい顔も姿も見られなくなってしまうよ」 「鏡なら他にもたくさんあるわ」 「ならそのたくさんの鏡からまた俺が出てくればいいだけの話さ」 「いいわ。あなたみたいな醜いものと過ごすくらいなら全ての鏡を捨ててしまいます」 「そうかい。そうかい。じゃあそうすればいいさ」 そう悪魔が言ったとたんに、恐れと怒りに我を忘れた貴婦人は、手鏡を高貴な椅子の角に叩きつけて割ってしまった。 それからというもの、貴婦人の屋敷にはひとつの鏡もなくなってしまった。 顔や姿を映すようなものもすべて捨てられた。銀食器は木を削ってできたスプーンやフォークに。宝石も透き通ったものしか許されなかった。 化粧も使用人にやらせ、気が向けばどのような表情をしているか、自分はどのような人間に見えるかを逐一報告させた。そして、毎週のように画家に肖像画を描かせ、自分の美しさを確認した。だが、使用人や画家は年々衰えていく貴婦人を見て可哀想に思い、いつまでも若かった頃の美しい評価を与えるだけだった。 そのうち、貴婦人は自分がどんな人であるかわからなくなってきた。自分の顔もだんだんと忘れ、使用人や画家が描く型にはまったどこかぼんやりした女性しか思い出せなくなってしまった。 自分がなくなってしまう恐怖に耐えかねた貴婦人はついに手鏡を買ってくるようにと使用人にことづけ、何十年ぶりに自分の顔を見ることができた。だが、そこに映っていたのは目と鼻と口と髪の毛がついている物体でしかなった。貴婦人は鏡の見方をもすっかり忘れてしまったのである。使用人の顔と、自分の顔のどちらが勝っているか、劣っているか比べることができなかった。肖像画の貴婦人と鏡を覗いているこの目や鼻に似ているところがあるかもよくわからなかった。 貴婦人は絶望して悪魔を呼んだ。 悪魔は貴婦人が推測するところ、あの嫌な笑みを浮かべる口元を形作って言った。「鏡も幻と変わらない。あなたではないだろう。あなたを映すものだ。あるのはあなた、それだけだ。美しいかどうかはあまり関係がない」 貴婦人はこどものように泣きじゃくりながら言った。「でも、姿が見えなければいないも同然だわ」 「あなたは年を食って醜くなっているかもしれないよ」 「それでもいいわ! 」 「ではまた鏡を見ることだね」そう言うと悪魔は鏡の中へ戻ってしまった。 貴婦人はそれからまた毎日顔を鏡に映して、自分の目や鼻、唇、まつげや髪の毛の一本まで元どおりのひとつの顔になるように観察し続けた。 日を追うごとに貴婦人の顔は具体的に見えるようになった。鏡に映る彼女の顔は年をとってたるんではいたけれども若い頃のような浅はかさやどぎつさはなくなり、優しい面持ちに変化していた。 貴婦人は自分の顔を取り戻すことができて飛び上がって喜んだ。 けれども、彼女が肌身離さず持っていた手鏡がまたもや手のひらから滑り落ちることになる。 貴婦人ははっとして口元を覆った。緑のビロード絨毯は今や色あせ硬くなっていたせいか、落とした手鏡にヒビが入ってしまったのだ。 そして恐ろしいことに鏡に映っていたのは鼻が潰れ、窓から漏れる夕日に黒く肌を塗りつぶした意地悪そうな顔だったのである。

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板。夜の川と木と炎。

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