四十年間の虹
四十年のあいだイリスは現れず、 四十年のあいだ毎日見られん。 潤いなき大地は乾燥をいや増し、 虹見えしとき大洪水あらん。
ミシェル・ド・ノートルダム『予言集』第1巻第17番、高田勇・伊藤進訳。 Nostredame, Michel de. Les prophéties de M. Michel Nostradamus. I, 17. 1555.
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四十年間の虹
四十年のあいだイリスは現れず、 四十年のあいだ毎日見られん。 潤いなき大地は乾燥をいや増し、 虹見えしとき大洪水あらん。
ミシェル・ド・ノートルダム『予言集』第1巻第17番、高田勇・伊藤進訳。 Nostredame, Michel de. Les prophéties de M. Michel Nostradamus. I, 17. 1555.

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中国人と自然哲学
幾人かの中国人は、すでに述べたように、古人のいくつかの著述によって太陽と月の蝕に関する若干の知識を有するとはいえ、さりとてこれについての体系的研究が存在するわけではない。もし彼らにこの自然哲学系の学問があったのならば、それを通じて彼らは往時の哲学者が得ていたようなデウスの認識に楽々と到達していたであろう。使徒聖パウロは「ローマ人への書翰」においてこう述べている。「デウスにまつわる不可視的なことがら、神性、御力、永遠性は被造物、可視物に対する考察と認識とによって知られるにいたる」 (ロマ書、一ノ二〇) と。したがって、中国人に唯一神に対する認識がないということは、中国人が自然哲学系の学問を有せず、かつ自然の事物に対する熟考を好まぬということを示す有力な論拠である。
クルス『中国の諸事がその詳細事項とともに一部始終述べられたる総論書』第27章、日埜博司訳。 Cruz, Gaspar da. Tractado em que se cõtam muito por estêso as cousas da China. XXVII. 1570.
湯浴みする十個の太陽
下 (部) に湯のわく谷があり、湯の谷の上に扶桑あり、ここは十個の太陽が浴みするところ。黒歯の北にあり。水の中に大木があって、九個の太陽は下の枝に居り、一個の太陽が (いま出でんとして) 上の枝にいる。
「海外東經」『山海經』第9、高馬三良訳。 〈海外東經〉《山海經》第9,c. 5c BCE–3c。
昇る陽の聖なる美しさ
いとしい人、あなたのおかげで、昇る陽の聖なる美しさを知ったのよ。なのに、なぜ、夜明け前に姿を消してしまったの?
カジミル=ペリエ『アラン=フルニエへの手紙』1913年5月30日付、松本百合子訳。 Casimir-Périer, Pauline. Lettre à Alain-Fournier. 30 mai 1913.
ブリタンニアの白夜
夜は明るくブリタンニアのさいはての地などでは、はなはだ短いので日没後の薄明りと日出前の薄明りを区別することはなかなか困難である。しかしもし雲がさえぎっていないときは、夜の間中、太陽の金色の輝きが見られると人々は断言する。太陽は沈みもしないし、昇りもしない、ただ移って行くだけであると。たしかに地球のいちばん末端の平坦部では地球の影が低く、高いところまで暗くなることはない。それで夜が天上の星まで達しないのである。
タキトゥス『ユーリウス・アグリコラの生涯と性格について』第12章、國原吉之助訳。 Tacitus, Publius (Gaius) Cornelius. De vita et moribus Iulii Agricolae. XII. c. 98.

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ザクロ石の太陽
この町の中央に一つのすばらしい塔がありますが、高さは二百間、幅は百間、暖炉のように円形です。この塔は全面を緑の大理石で覆われており、骨組みの一つもない円天井になっているのです。そしてこれの先端は鐘楼のような櫓になっているのです。この櫓を乗せている半球は純金で出来ているのです。尖塔は高さ百尺もあり、アプリアの上質の金で作られています。天上の半球に使われている金は少なく見積もっても百マルクは下りません。その上部に魔術で取りつけられたザクロ石が輝いています。とても巧みに取りつけられており、夜になるとまるで太陽のように明るく輝くのです。暗い夜も、町の周辺は、どんな召し使いも提灯や松明を持つ必要がないほど明るいのです。
『フロワールとブランシュフルール』ルクランシュ版、第1811行以降、森本英夫訳。 Floire et Blancheflor. Éd. J-L Leclanche. vs. 1811ff. c. 12c.
真夜中の太陽
一つの山が海から突き出ているのだ。暗くなった空を背にして、いまはもうはっきりと見分けがつく。白い、雪のような円錐形が、いま昇ろうとする月にも似て薄紫色の軽やかなヴェールに乗って水平線を離れ、宙に浮かんでいる。まったく孤独に、真っ白な雪をかぶって、完全な左右対称の形に盛りあがっているところは、氷海の入口にそびえるきらきらした灯台のようだ。天体のように水平線にせり出してくる姿はとうてい陸地とは思えず、むしろ真夜中の太陽とでも言いたいほどで、いかにも定めの時刻に、洗い流された深淵から宿命の海のおもてへと、音もない軌道のめぐりに乗って運び出されたように見える。それはそこにあった。その冷たい光は沈黙の泉のように、星をちりばめた寂寥の処女性のように冴えわたっていた。
グラック「ヴェッツァノの島」『シルトの岸辺』安藤元雄訳。 Gracq, Julien. « l'Ile de Vezzano. » Le rivage des Syrtes. 1951.
天に留められた太陽
神はシャルルマーニュの御為に大いなる奇蹟をあらわし、 しばし太陽を中天に留め給いたり。
[テュロルド(?)]『ロランの歌』第180章第2458-2459行、佐藤輝夫訳。 [Turold(?)] La chanson de Roland. CLXXX, 2458-2459. c. 11c.
太陽でさえも
去り際を飾ることを知れ。引き留められるうちに奥ゆかしく立ち去ることだ。太陽でさえ、まだ明るく輝いているうちに雲に隠れてしまうと、いつまた出てくるのだろう、早く出てこないものかと待ち望まれる。
グラシアン『神託必携――処世の術』第110番、加藤諦三訳。 Gracián y Morales, Baltasar. Oráculo manual, y arte de prudencia. CX. 1647.
陽は沈んでも
太陽は、日々沈んでもまた / 昇りもえよう / が、私らの短い光のひとたび / 沈めば、 / いつまでも明けぬ 一夜を / 眠るほかないのだ。 / さあ接吻を千たびもおくれ、 / それから百も、 / そいからもう千度、つづいて / また百度、 / それからもう千度まで、 / それから百たび、 / そいで何千たびも やりすましてから、 / そいつを / みんなまぜつ返しちまはうね、 / わからないやう、 / それにまた誰か 意地惡いやつが / やつかみもできないやう、 / そんなにまで接吻が たんとあるつて / わかつた時にも。
カトゥッルス「レスビアに」『カルミナ』第5歌第4-13行、呉茂一訳。 Catullus, Gaius Valerius. «Ad Lesbiam.» 4-13. Carmina. V. 1c BCE.

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月はけっして終らぬであろう
月の満ち欠けにもかかわらず、たぶんそれが連続するために、というのもそこに彼らは永遠の運動原理を見たからだが、彼らは月を永遠の事物に数え入れた。月は消える、ふたたび明るむために。月は死ぬ、再生するために。とこしえにこうであろう、物質を支配している法則に従って。その法則においては、一切が変形し、何一つ亡びることはない。
ゴーギャン『ノア=ノア――タヒチ滞在記』岩切正一郎訳。 Gauguin, Paul. Noa-Noa: Séjour à Tahiti. 1901.
月を食うアスラ
偉大な人が供養するものを / 劣った人は馬鹿にする。 / シヴァ神の頭の飾りである月を / アスラは食べ物にする。
サキャ・パンディタ・クンガ・ゲルツェン『貴い格言の蔵』第6章第241句、今枝由郎訳。 Sa skya Paṇḍita Kun dga' rgyal mtshan. Legs par bshad pa rin po che'i gter. VI, 241. 13c.
長き翼もつ月女神
この女神の不死なる頭より天上のものなる光出で、 地に拡がれば、眩しくきらめく光の下に 大いなる美しさが生じて漲り、 光なき空気は黄金の冠により燦として輝く。 神々しきセレーネーが、玉の御肌を オーケアノスの流れで清めたまいて、 遥けき方まで光とどく衣まとわれ、 月も半ばの黄昏時に 力強き首もつ輝ける若駒を繋ぎ、 たてがみ美しき馬ども駆って急ぎ馳せ行きたまえば、 光は昼をあざむくばかりにまばゆく輝く。
「セレーネーに」『ホメーロス風讃歌』第32歌、沓掛良彦訳。 «Εις Σελήνην.» c. 2c BCE? Ομηρικοί Ύμνοι. XXXII.
月上の姮娥
白い兎は仙薬を擣いて、無限の春と秋を繰り返す。 美しい姮娥はたったひとり棲んで、いったい誰と親しむのか。 今の世の人は、古き世の月を見たことはないが、 今の世の月は、かつて古き世の人を照らしたのだ。
李白「把酒問月」9-12、松浦友久訳。 李白《把酒問月》9-12,8c。松浦友久訳。
カーモール王の盾に輝く星たち
曇りのない瞳のケン・マーハン星 雲間から耀き出るクール・ジァールサ星 霧に包まれたユール・ウィハ星 岩の上に光るクーン・ハーリン星 西方の青い浪の上に半ば水に隠れて光るレール・ドゥアラ星 山の燃える目のようなベール・ヘーナ星は狩人が獲物の 高く跳ねるのろ鹿をかついで、草に露のおいた夕暮の谷路をゆくとき 丘の森をとおして狩人のゆっくりとした足どりを見おろしている星
マクファーソン「タイモーラ」第7歌、『フィンの息子 ダーナ神族のオシェン』中村徳三郎訳。 Macpherson, James. «Tighmora.» VII. Dàna Oisein Mhic Fhinn. 1760s.

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空の火の節約
もし仮に、同じ強さの火がすべての星座のすべての部分を燃やしているのなら、宇宙はそうした大火に耐えることができないだろう。自然は空の火を節約することで、自分自身を傷つけないよう注意しているわけである。あまりの重荷に押しつぶされることを恐れた自然は、おおよその星座の形を定め、確かな目印でそれを私たちに知らせるだけで満足した。
マーニーリウス『アストロノミコーン5書 (アストロノミカ)』第1巻、有田忠郎訳。 Manilius, Marcus. Astronomicon libri quinque (Astronomica). I. c. 1c.
羊の如き物
一、同九月廿日の夜、夢に云はく、大きなる空の中に羊の如き物有り。變現窮り無き也。或るは光る物の如く、或るは人軆の如し。冠を著け、貴人の如く、忽ちに變じて下賤の人と成り、下りて地に在り。其の處に義林房有り、之を見て之を厭ひ惡む。豫之方へ向ひて將に物云はむとす。豫、心に思はく、是は星宿の變現せる也。
明惠『明惠上人夢記』承久2年 (1220年) 9月20日。