タンメン
自宅にて本日の業務を終え、夕飯の支度に精が出ず日高屋へ向かう。 カウンターの席に案内されるも端が空いていない。 飲食店のカウンターやトイレ、電車の座席って 人の隣の居心地の悪さを気にして端を選びがちだ。 まだ卓に料理が並んでいない男性の隣を避け、 もうすぐ天津飯と小ラーメンを食べ終わりそうな女性の隣に座る。 チャーハンと迷ったが、野菜たっぷりタンメンと餃子のセットをタブレットでそそくさと注文する。 料理が来るまでの間、SNSを眺めていたが、 隣の女性は天津飯を食べる蓮華を置き、 自分と同じようにスマホを触っている。 この人が先に食べ終わったら隣が空いて、 居心地が良くなるのになと考えていたが、 少し真面目に働いた後の脳みそが弾き出した空席未来予測は、 流行りのAIよりも頼れないようだった。 日高屋なんて飯屋に一人で来るとき、 さっと食ってさっと帰るけども、 カウンターでひとり時間を潰している女性の生活について、 先ほど予測を外しているので、そんなデータは微塵もなかった。 それどころか男女の飲食のスピードも計算できていない。 タンメン・餃子がテーブルに並ぶ。 残り3口ほどの天津飯に手を付けず、女性はスマホを触っている。 かと思うと、入店時に避けた男性は黙々とチャーハンを食べ進めていた。 程なくして食べ終わった男性は席を去るのだが、 その前に入店した男性が自分の隣に着席し、両隣が埋まった。 予測は完全に外れた。 なんてお粗末な計算能力なんだろう。 こんなことならAIにでも指示を仰げばよかった。 一方女性はついぞ自分が席を立つまで退店することはなかった。 ちょうどいい、今後のためにデータを用意してインプットしておこう。 自分は単身で家に帰れば気を使う人もいないので、 家が一番気楽で自由に過ごせるが、 この女性は家に変えれば家族やパートナーがいるのだろうか? 他人との会話の時間にスマホを触っているのが気まずいと感じるから、 ここで用事を済ませているのだろう。 …データが尽きた、このへんでやめておこう。 これまでの人生、もっと人に興味を持って よく観察しておけばよかった。 他人を見てその背景が全く想像できない己にひどく落ち込んだ。 帰りにレジで見かけた、 Paypayと日高屋の連携キャンペーンのことだけ 優先度高のデータとしてインプットした。















