NG LIVE 2017 at 新大久保Earthdom 2017/02/04
鬼-O.N.I.- 特別編成AMERIKA BACTERIA
“parsley, sage, rosemary and thyme”
「AMERIKA」の歌詞の一部で、今回のライヴのキーワードといえるこのフレーズは、告知チラシによるとサイモン&ガーファンクルの「スカボローフェア」からの引用で、元はイギリス民謡だという。諸説あるが、4つのハーブの名前は悪魔や妖精に連れ去られないように唱える魔除けのおまじないの言葉だったといわれ、原曲では北村昌士のヴォーカルが強烈に耳に残る部分だ。だからなのか、告知の文章を見ているうちに不思議と気持ちが引き寄せられて、数年ぶりの東京行きを決めていた。
会場には多くの人が集まっていた。冒頭のフレーズをデザインした本日限定販売のTシャツは、15分で完売したと後で知る。 最初はBACTERIA。5年ぶりくらいに見るが、変わっていないメンバー3人の姿に嬉しくなる。 3曲演奏した後でMCが入り、今までやった曲は全てアルバムに収録されているが、ここからは未収録の曲をやるとカワグチ氏が告げた。そこからの新しい曲は、BACTERIAらしい瀑布のような音の放出が押し寄せる激しさに、静寂の中にツリーチャイムだけが響くような繊細な音も聴かせ、それらの対比が美しい3曲だった。
韓国語の読経のSEが流れる中、特別編成AMERIKAのセッティングが行われる。見たことがない高さに積まれたアンプは全部で13台あったそうだ。 再発以前の『ALIENATION』には入っている「あの」ミッキーマウスマーチが少しだけ流れ、Borisのメンバーとカワグチ氏3人の演奏から始まる。北村氏の所有物だったという白いギターからは故人の音が聴こえた。ドラマーがエフェクター状の発信機やシンバルなどを使ってパフォーマンスをするのを見て、原曲からずいぶん変えたなと思っていたが、そのうちベースを携えた森川氏が加わり「あの」イントロが演奏された。最初からかなり音が大きかったが(入場時に注意書きが配られたほど)、ここでさらに一段階上がる。音圧も凄まじい。噴出されるスモークに視界が奪われ、ステージ端のプロジェクターから発せられる赤い光が濃い霧に反射して、まるで燃えているようだった。 かつて北村氏がFool’s Mateに寄せた文章の中に「ライヴの最中にミュージシャンが『ノッてるかい』と聞くのは、『神か悪魔が乗り移ってるかい』という意味」という一節があったのを思い出す。掲載誌が手元に無いのであやふやなのだが、古代祭祀における神の依り代のシャーマンと、音楽の中でトランス状態になることを関連づけて書かれた文章だったと記憶している。そんなことを思い浮かべながら聴く森川氏の叫びは、神か悪魔か、もしくは北村昌士かが乗り移ったかのようだった。 曲の終盤には、冒頭と同じように原曲には無い部分が加えられ、50分に拡大された「AMERIKA」が終わった。由来不明の"parsley, sage, rosemary and thyme"と同じように、歌詞の言葉の意味や原曲にまつわる意味は消え失せ、轟音とともに放出される膨大なエネルギーの塊自体が、「AMERIKA」という曲によってあらわされたのだと感じた。












