交換所は神保町の路地を入った地下室にあった。 裸電球のぶら下がる狭い階段を下りていくと、何の表示もない灰色の鉄扉がある。扉はいつも細く開いていて、何かを待っているかのようだった。押し開けると、ベルがかさついた音を立てる。空気には古本と線香の混ざった匂いが漂っていた。 店主は黒沢と
新作短編「運勢交換所」を公開しました。
運はジャズに似ている。本当のいい運は、ずっとあとにならなければ見分けがつかない。即興演奏のなかに、間違った音符はひとつもない。ただ、曲全体を聴きとおすのに時間がかかるだけだ。
あなたのその不運も、もしかすると、まだ聴き終えていない幸運の一節かもしれない——そんな物語です。











