「四美一体」
朝晩に肌寒さを感じるようになり、今年は例年より「秋」を感じられることを嬉しく思う。ストールやグローブが使えるシーズンの始まりを皆で楽しもう。
話は随分と昔のことになるが、私が自身の時計を手にしたのは高校二年になるときだった。父親と久留米の時計店に行き選んだのは「セイコーシャリオ」。上の画像の右にある三針時計だ。 当時セイコーは、ボリュームゾーンに皮ベルトの「シャリオ」とブレスの「タイプⅡ」をラインナップしていた。私が迷わず「皮ベルト」を選択した時、父親が「ふ~ん」みたいな顔をしたことを今でも覚えている。自分の時計と良く似たモノを選ぶ息子を当時の父親はどう思ったのだろう。
実はこの「シャリオ」、最近「お蔵」から引っ張り出し30年ぶりに復活させたものだ。長期間不動だったので動作に半信半疑だったが、電池を入れてもらうとあさっり動き始めた。
きっかけは、現行品にない70年代クォーツのシンプルで上品な面持ちを再認識したからだった。そもそも私がこの時計を選んだのは、友達の大半がブレスの時計をしている中にあっても、その薄さと皮ベルトが持つスマートなイメージが良かったことが理由だ。それなのに「時計は機械式でしょ」という大人のワガママから私は「シャリオ」を長年無視し続けてきた。今は復縁したとはいえ、本当に悪いことをしたと思っている。ケース径33mm・厚さ5mmの薄型小径クォーツは、ゆとり量が少ないカフを好む私にとって大変具合がいい。「不義理」していた分、これからは大事に扱わせてもらう。
いまこの文章を書きながら視線を手元に落とすと、腕時計は半分だけカフから顔を覗かせている。手首、時計、カフ、そして上着の袖口、この少しずつ重なり合う4者は、一体となって流れるように時を刻む。それはトリオがゲストを迎え、心地よいリズムを刻むカルテットのように思える。
秋風の中コートを羽織って街に出よう。今日のゲストはセイコー。
私は80年代にセイコーレディースが使った秀逸コピー「なぜ、時計も着替えないの」を思い出した。
注文服ヤマキ 木下 達也
-画像左のレクタンギュラーも1980年製のシャリオです。ネットオークションの出品を3回やり過ごしても誰一人入札しなかったから私が落とした4300円クォーツ。いい時代になりました-

















