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ぼく、飛行機に乗ったよ
『レッスンinケミストリー』『プルリブス』『ディスクレーマー夏の沈黙』を観たときにも感じたことだけどAppleでつくられ送りだされる映画やドラマは他の多くのサブスクリプションからの配信作品とはあきらかに異なる特別なベクトルが息づいている
最新作『ぼく、飛行機に乗ったよ/PROPELLER ONE-WAY NIGHT COACH』でもそんな思いはよりつよく確かなものとなり趣味の良さや品格だけではないsomething elseという"良作"に欠かせない要素が満ちあふれている気がする
「この映画には、怒りがない。誰かを責める言葉もない。人生の苦しみを訴える場面もない。ただひたすら優しく、ロマンチックだ。」と、ある聡明なシネマディクトがnoteに綴っていて、無条件に共鳴した
ジョン・トラボルタがかつて16歳でこの世を去った長男ジェットくんが元気だったころ、彼と家族のために書き下ろした児童向け絵本[Propeller One-Way Night Coach]をベースに、監督・脚本・ナレーション・出演までこなしたこの映画は近年まれにみる閑かで滋味あふれる名作になった
空港のしつらえをはじめロゴデザインや配色、衣装、小道具、そして音楽のえらび方にまで全編を通してミッド・センチュリー・モダンのビジュアルと空気感がていねいに再現され、半世紀以上前のアメリカの豊かさと人びとの優しさが画面越しに届く
大型航空機の操縦資格を取得し、ボーイング707を所有し自宅にそれが離着陸できる滑走路までつくるほどの飛行機好きなトラボルタが息子と自身の少年時代の夢を描いた30年前の原作絵本、これがいま映画になり古いアルバムをめくるように甘酸っぱい記憶となってよみがえる
そしてもう一つの主役が通称「コニー」ことロッキード・コンステレーション
三枚尾翼、流れるような胴体、なめらかな曲線で構成されたこのエレガントなプロペラ機は、映画「アビエーター」で描かれたように空飛ぶ工芸品であり空の黄金時代を象徴する飛行機とよばれ役目を終えたいまもファンのこころを魅了しつづけている
「かつては、建築も航空も自動車もファッションも、あらゆるものが希望と冒険に満ちていました。次に何が生まれるのか、人々が胸を躍らせていた時代です。しかし今の若い世代は、そうした"希望のロマン"を失いつつあるように感じます。この映画で、その感覚を思い出してくれればうれしいです」
と、トラボルタはカンヌ映画祭の壇上でスピーチをした
ともあれこの作品は、人生で最高の映画のひとつであるとともに、自分のなかのもっとも繊細な部分にしみわたり心を回復させてくれる映画として愛し続けるだろう
追記:客室乗務員役のエラ・ブルー・トラボルタの美しさと演技もこの映画のみどころのひとつなのとトラボルタのナレーションが素晴らしいので字幕つきをつよく推奨
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