珍しく、ちょっとした最近の小話を。
ある日の夜、以前に一度だけ手合わせした事がある人から久々に連絡があり、√が無くなってしまったからネタとペンを譲って欲しいとお願いされた。
彼には過去にネタの受け渡しのみ対応したことがあるのだが、やり取りを進めていくうちに、今回は往復タクシー代も出すから今から玄関まで突きに来て欲しいとリクエストされた。彼は自分で突けない人なので。
たまたま手元に余裕があったので、スムーズにやり取りできるなら対応してもいいかなと思ったが、希望のメモ数が変わったり、翌日の受け取りでもいいかと聞かれたり、一緒に遊べないかと打診されるなど、返答内容が不安定だったので、こちらも冷静になり始める。
もしかして既にフライト中なのかと邪推したが、どうやら帰宅途中らしい。
そんな調子に振り回されながら、テンポの悪いやり取りが2時間近く続き、気付けば日付が変わっていた。
受け渡し以外の要求が多かったので、断ろうかどうしようか悩んだ末に、迷いながらも今回に限りOKと返事を送った。
行くと決まってからは、とにかく確実かつ手短に済ませたかったので、予めペンにネタを詰めて、メモ数を写真で確認してもらい、こちらでネタを溶かしておいた。我ながらとても親切だと思う。
そうして準備した爪12のペンを鞄に忍ばせ、深夜のタクシーで数キロ先の家まで向かった。
帰りも同じタクシーに乗りたいので、目的地に着いたら待機してもらうよう運転手に頼み、10分ほどで到着。
着いたと連絡すると、すぐに相手が現れた。
久々に見た彼の顔は、以前よりもやつれたような印象で、きっと定期的に遊んでいるんだろうなと勝手に想像した。
軽い挨拶を交わす言葉自体はハキハキとしていたものの、こちらが邪推したイメージと、夜の暗さも相まって、とにかく早めに済ませて帰ろうと心の中で決めた。
玄関に入って、先に代金を受け取り、金額を確かめてからポケットにしまって、早速準備に取り掛かった。
相手は止血帯を手にしながら左腕の消毒を始め、俺は鞄からペンを取り出す。
玄関は薄暗くて、先端の目視に少し手間取ったが、すぐに向きを捉えて、スジ筋体型の腕にくっきり浮き出た青筋に、迷わずペンを突いた。
直ぐに中が赤く染まったのを確認し、そのまま難なく作業を終え、平静を保ちつつ「ありがとう」と言う彼と、玄関の棚にペンを置いて「どうも」と告げて立ち去る俺。
タクシーに戻るまでの時間は、僅か1分か2分足らず。
無事に役目を終えて乗り込んだ帰りの車中では、彼がどんなフライトを楽しんでいるのだろうと気になったり、何だかんだでエロいシチュエーションだったなと振り返ったり、でも深夜に出向いてここまでしてあげたのは流石にお人好しが過ぎたかなとも思ったり、色々な考えが頭の中を巡っていた。
以上、ちょっとした最近の小話でした。










