ドクメンタ(13)へのイントロダクション
芸術監督:キャロライン・クリストフ=バガルギエフ
ドクメンタ(13)は、コミットメント、問題、ものごと、具体化、そして、理論と関係する(しかし従属するのではない)活動的な生を探求する芸術調査、想像力の形態に資するためのものです。
これらは、様々な科学的・芸術的分野における現在の調査と、その他の諸知識との間にある、感覚論的、現実態的、世界性的な同盟関係から政治性が不可分である地勢です。(古代においても、同時代においてもそうです。)ドクメンタ(13)は、経済成長を根気強く信じ続けることに懐疑的な、全体論的で非論理中心的なビジョンによって駆動しています。
このビジョンは、普通の人々を含む、世界のすべての生物・無生物の作り手たちについて知るということのかたちと実践のあいだで共有されていますし、それらを認識しています。
カッセルでの展覧会は、あるひとつの場に従事し連動することを目指すと同時に、その他の場所と複数の語りを生産できることも目指しているのです。
ドクメンタ(13)は、場所と時間の見かけ上の同時性に位置していて、4つの主要な態度を通して連結されています。それら4つの態度は、人々(とくにアーティストや思想家)が自分たち自身を、現在において活動している者であると気づくような諸状態に対応しています。主体がとりうるすべての態度を網羅することからは遠く離れて、彼らは相互関係において、自身の重要性を獲得するのです。プロジェクトの精神的空間内で、あるいは現実的空間内で、演技へと注ぎこまれるその4つの状態とは、以下のとおりです。
舞台上:私はある役割を演じており、私は再-演する行為における主体である。 包囲下:私は他者によって取り囲まれており、他者によって包囲されている。 希望の状態、あるいは楽観主義:私は夢をみる。私は予期する、夢見る主体である。 撤退中:私は引っ込み思案である。私は他者から離れることを選ぶ。眠る。
これらの4つの状態は、ドクメンタ(13)が物理的に、そしてコンセプチュアルに位置している4つの場所(カッセル、カブール、アレクサンドリア/カイロ、バンフ)と関係しています。これらの場所は、4つの状態を具現化する、五感で認知できる空間性であり、こうした場所や状態に関係して典型的に作り出される連関を霞ませます。そして代わりに、絶えず移動し、重なり合っているのです。
それぞれの状態というのは、精神の一状態であり、特定の方法で時間と関係しています。撤退が時間を宙づりにする一方、舞台上であることは、「いまとここ」という鮮やかで生き生きとした時間を生み出します。途切れることのない現在です。希望は、約束という感覚、時間が広がり、終わることがないという感覚を通して時間を解放するものであり、包囲下であるという感覚は時間を圧縮します。私たちの周囲をきつく縛る人生の諸要素を超え出た空間などまったくない、という程度まで。
アーティスト、芸術作品、そして出来事はこうした4つの状態を同時に占有します。
カッセルでは、ドクメンタの伝統的なメイン会場であるフリーデリキャーナム、ドクメンタ・ハレ、ノイエ・ギャラリー(美術館スペースとホワイトキューブ)に加え、物理学、精神分析学、歴史学などの異なる文化的領域と現実を表象する空間でドクメンタ(13)を開催します。自然や技術的科学のための空間(たとえばオットーネウムやオランジェリー)でも開催されます。バロック様式のカールスーエ公園のいたるところでも、小さな小屋を建てて開催します。空間的に拡散した諸要素(それらは自身の特異点を維持してもいるのですが)の集合体を通って、ある特定の様式の近接性を示唆します。公園と対となるのは、旧中央駅の背後にある工業スペースです。かつてカッセルの主要な駅でしたが、今は地元の運輸関係としてのみ使用されています。20世紀における国家社会主義体制のための戦車を生産する工場世界とつながっているディストピア的な空間であり、今なお工場と隣接しているのです。そして、メイン会場からは離れた、異なる秩序のもとにある様々な「ブルジョワ」空間でも開催されます。それらの場所は今なお普段通り使用されている場合もあれば、忘れさられた場所である場合もあれば、「取り除かれた」場所であることもあります。
ドクメンタ(13)は空間的転回、というよりもむしろ「位置的」転回をおこないます。物理的な場の重要性を強調しますが、同時に脱臼すること=非位置化することも志向し、異なる部分的パースペクティブの創造を目指しています。それは、ローカルな歴史、ある場所の現実を、世界やそして世界性と結びつける、変化する縮尺についての、ミクロな歴史の探求なのです。
http://d13.documenta.de/uploads/tx_presssection/3_Introduction.pdf









